第25話 〜皆と遊びたい!!〜

「私!みんなと一緒に森で遊びたい!!」


 突然ノーレがこんな事を言い出し、皆を困らせていました。


「う〜ん...、お母さんは家のお仕事が手放せいないし、タルトさんとエルシーさんは畑仕事で行けないわね...、ノーレ、皆の手が開くまで待ってくれない?」


 母さんの言葉を聞いた妹は、激怒するように地団駄を踏みながら両手を振っています。


「何で皆私と遊んでくれないの!?、最近私1人で遊んでいるんだよ!、たまには皆と遊びたいよ!」


 妹の言っている事も理解してあげたい俺ではあるが、実際畑仕事をしていないと収入が安定しないし、1日でもそれを怠った場合、作物の質が若干落ちる事は明白なのだ。


「ごめんノーレ...、俺も時期が終わるまでは遊んでやれそうにない...」


 もう時期出荷の時期が来るらしいので、俺もそれが終わるまでは遊んであげられない。

 まだ遊び盛りの彼女には酷な話だが、俺たち以外に遊び相手はいないのだろうか?。

 そう思っていると、最初に出会ったあの子を思い出す。


「そういえば、アユナだっけ?、あの子に遊んでもらったらどうなんだ?、村長の娘らしいし、普段は暇なんじゃない?」


 俺の中で村長の娘という者は、普段は暇をしており祭りなどの祭典の際のみ忙しいというイメージがあったのだが、母さんに突っ込まれる。


「いやいや、タルトさん、アユナさんはクティル王国祭に向けて村の支出を計算する係になっているのですよ、遊んでいる余裕なんかあるわけないです」


「クティル王国祭?」


 俺が不思議そうな顔をしていると、エルシーさんが笑い声をあげました。


「なんだよお前、ここの大陸に住んでいるのにそんなことも知らないのか?、クティル王国祭ってのは魔道王国クティルで行われる年に一度の大きな祭りだ、ここら一体の村や町の人達がそこに集まって皆で祝う祭りなのさ」


「...、何を祝う祭りなんだ?」


 俺がその言葉を漏らすと、心底呆れたような声を出しながら彼女は答えてくれました。


「お前...、流石にそれくらいは覚えとけよ、7年前にこの地域を支配していた魔女を勇者様と3人の聖人様達が封印してくれた事を祝う祭だ」


(魔女?...勇者に聖人様?...何のことか全くわからないけど、わかったような振りしとこ)


「あ、あれね、魔女ね、完全に理解した」


 全くわかっていないのだが、ここは知っている事を装っていた方が利口だと考える俺。

 俺とエルシーさんのやりとりを見ていた妹が突然唸り出し「もういい!」と叫んだ後、家扉を乱暴に開けて出て行きましや。

 あまりに突然過ぎる出来事だったので、俺たちは何をするわけでもなく、その行動をただただ呆然と眺めていたのでした。

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