第24話 〜ノーレとエルシー〜

 仕事を終えた私は、タルトと共に家に帰りました。

 風呂に入った後、用意されている布団に潜り込み寝る用意をしていると、タルトの妹であるノーレが突然布団の中から顔を出して来たのでびっくりしました。

 そして鼻をひくつかせながら私の匂いを嗅いでます。


「エルシーさんっていい匂いがする〜」


 彼女は笑顔でそういいながら私の肌にふれてきました。

 幼い子供が私に近づいて来てくれるのは正直嬉しいと思います。


「そ...そうか?、ちょっと照れるな...」


 私がちょっぴり照れていると、彼女が頬ずりしながら私のお腹に抱きついてきます。


「エルシーさん、ぎゅっとして...」


「しょうがないなぁ、ノーレは甘えん坊さんだね」


 私は彼女をそっと抱きしめてあげました。


「エルシーさんの肌...あったかい...」


 彼女の体を包みこむようにしていると、そんな事を言ってくるので少し恥ずかしいと思いますが、子供の戯言だとスルーすることにします。

 そうしていると、突然こんな事を言い出したので答えるのに困ってしまいました。


「ねぇ...、ねーねって呼んでもいい?」


「ね...ねーね!?、それはちょっと...」


「やっぱり...ダメ?」


 うるうるとした今にも泣きそうな瞳で私を見つめてきます。

 そんな表情で見つめられると断るに断れなくなってしまいました。


「わかったわかった!、ねーねって呼んでもいいからその顔はやめて!」


「わーい、ありがとう!ねーね!」


 さっきまでの泣きそうな顔はどこえやら、代わりにすごく嬉しそうな表情をのぞかせています。

 幼い子供にしてやられたと思いましたが、これも彼女の喜ぶ顔が見られるならまあいいかと考える事にしました。

 そういえば、彼女の顔が私の実の妹にそっくりな気がするのは私だけでしょうか?。

 まあ、もう実の妹は生きてなどいないのでしょうが、私は妹の顔をしっかりと覚えています。

 元はと言えば妹の弔いの為にこの王国へと立ち寄ったのですが、どうやらもう少しこの村に滞在する事になりそうです。

 なんだか居心地がいいこの場所に、少し惹かれ始めている私がいました。

 タルトもノーレもいい子だし、ツバキも教えがいのある子だと思います。

 やがてスヤスヤと天使のような寝顔を浮かべる彼女を見たときに私は妹の事を考えていました。

 もしも仮に妹が生きていたとしたら...、私は一体どんな顔で会えばいいんだろう...、6年も放ったらかしにした私を、今更姉だと言ってくれるのだろうか?。

 そう考えると急に不安になる。

 いや、生きている確率の方が遥かに低いのに、生存していると思いたい私がそこにはいたのでした。

 もう夜も遅い...、また明日考えよう...。

 私の手の中でよだれを垂らしながら眠る彼女を見て安心感を得ると、私もいつのまにか夢の中へと誘われて行きました。

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