第22話 〜エルシーさん〜
「エルシーさん!今日も稽古の方お願いします!」
「うん?、いいよ!」
彼女がツバキとの稽古を楽しんでいる中、俺は畑仕事を進める。
エルシーさんに畑仕事を毎回手伝って貰うのも悪いので、時には早めに切り上げてツバキとの訓練に当ててもらう事もありました。
(いいなぁ...、てかツバキのやつ普段なにしてんだよ...、今思ったら毎日うちの畑にきてよっぽど暇なのかこいつは...)
いつもなら気にしない事なのだが、エルシーさんと稽古している彼女が単純に羨ましいのだ。
だけど仕事を辞めるわけにはいかないので、途中途中で彼女達の稽古を見つめます。
どんどん上達して行くツバキを見る限り、彼女の教え方が上手いのだと思える。
実際に俺も彼女と手合わせをするのだが、彼女流の戦い方をしっかりと教えてくれるので、とてもわかりやすい。
強くて綺麗な上に人に戦闘を教えるのも上手いとか完璧超人かよと思ってしまうほどに、俺にとって彼女は完璧なのでした。
「よし!いいよその足の動き!、もう一歩踏み込んで」
「はいっ!」
すごく真面目に修行を続けるツバキ。
俺とやるときにも真面目にはやっていたのだが、どことなく注意が散漫していたのを覚えている。
しかし、エルシーさんと訓練している時の彼女は、とても真剣な眼差しで剣を振るっているのだ。
散漫していた彼女の意識が、エルシーさんの教えによって一点に集中するようになったのだろう。
以前の彼女とは比べ物にならない程実力を上げているので俺もうかうかしていられないのだ。
ようやく仕事が終わった俺は急いで混ざりに行く。
「おーい!俺も入れてくれ!!」
「おっ!、タルト仕事終わったのか?」
「はいっ!、よろしくお願いします」
「いいぜ!、二人まとめて相手してやるよ」
身構えたエルシーさんの迫力は異常だ。
背筋に寒気を感じるほどゾクゾクしてくるのだが、嫌な感じではない。
むしろこの巨大な壁をどうやって乗り越えるかというゲームの様にも思えるので、面白いとさえ感じる。
短剣を構えた俺たちは一度に斬りかかるのだが、流石に当たる気はしない。
スピードもパワーもあちらの方が完全に上なので、2人がかりでも相手にならなそうな表情をしている。
「おいおい、そんなんだと一生当たらないぞ!」
笑みを浮かべながら軽く俺たちの攻撃を避け続ける彼女を見た俺たちは一度距離を開け、作戦を立てる。
「ツバキ、今のままだと俺たちの攻撃は当たらない、ここは俺の作戦を聞いてくれないか?」
「作戦?、どんな?」
俺が彼女に耳打ちをして作戦の内容を告げると、彼女は首を縦に振ってくれた。
さあ、反撃開始だ。
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