第21話 〜心配〜

「う〜ん!たまには畑仕事もいいわね〜」


 彼女と俺は一緒に畑仕事をしていた。

 彼女曰く、働かないで食べさせてもらうのは彼女の性に合わないらしい。

 働いた分だけ俺達の家に泊まらせて貰うという契約内容で、俺達の家に住み込むようになったのは正直嬉しい。

 ほとばしる汗が彼女の額から流れ落ちるのを見た俺は、彼女の働く姿に魅力を感じていた。

 俺は彼女に気取られないようにチラチラと見るのだが恐らく俺が彼女に気があることは気がつかれている。

 彼女は一流の冒険者で俺なんかよりも人生経験が豊富だ。

 そのくらいのことお見通しだろう。

 その証拠に、ことあるごとに俺にちょっかいを出してくる。

 さっきも彼女が飲んだ水筒を俺に渡してきて、俺の反応を楽しむ彼女の表情にグッとくる。

 遊ばれてる感は半端ないが、それもまた彼女の魅力だろうと思う。

 とりあえず2人になったので畑仕事がいつもよりも早く終わる。

 仕事が終わると彼女がおもむろに話しかけてきた。


「そういえばタルト、あなた昨日お母さんにこっぴどく怒られてたわね、何かあったの?」


「ああ、勝手に村の外に出て魔物退治に出てたってエルシーさんが言っただろ?、母さんに言わず自分の判断で村の外に出た事を怒られたんだ」


「えっ...、あんたまさか親の許可もなしに外に出てたの?、見かけによらずワルだね〜」


「まあ、俺も悪かったって思ってるよ...、下級の魔物くらいなら腕試しに丁度いいって思ってたしな...」


 母さんには本当に悪い事をしたと思っている。

 ふ〜ん...と妙な素振りをしながらその場で俺の方を見てくる彼女に気を取られてしまう。


「何?」


「いや、タルトってさ、真面目そうな顔してる割には意外と行動力あるんだな〜っと思ってさ、真面目な奴ってそう言う事あまりしないでしょ」


「まあ、俺はただ困っていた村人の頼みを聞こうと思っただけだしな...、腕試しはその次のつもりだったんだよ」


「へぇ〜...、やっぱ真面目君だね、私は嫌いじゃないよ!タルトみたいな性格」


 彼女に褒められたような気がしたので少しテンションが上がる俺だった。

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