第17話 〜スターラビット〜
俺とツバキは山の
村からそんなに遠く離れていないので子供の足でも20分ほどで着いたのだった。
「タルト〜...疲れた〜」
さっきまで元気の良かった彼女が舌を出しながら
その言葉を連呼している。
「そんなこと言うならやっぱ連れてくるんじゃなかったな」
俺が彼女を煽ると、すぐさま怒りで体力を回復させた。
「なんだと!!、よーし!絶対にタルトより多く退治しちゃうもんね〜!!」
全く調子のいい子供だと思う。
俺がちょっと煽るとすぐに火が付くので扱い易い子である。
短剣を引き抜いてブンブンと振り回す彼女を見ていると微笑ましいと感じる。
そうしていると、目当ての魔物が草むらから飛び出して来た。
額にスターの形のアザがあるウサギ型の魔物だが、怒るとアザから魔力の角を出すらしい。
なので怒る前にさっさと倒してしまいたい所だ。
「先手必勝!!」
さっきまでの疲れは何処へやら、そう叫びながら彼女は剣を振りかざして突撃して行く。
ザシュッと一撃でウサギ型の魔物を倒してしまった。
「うそっ!やった!、見なさいタルト!私が一歩リードよ!」
彼女自身も魔物を倒したか疑っていたようだが、さっきからピクリとも動かないので本当に倒してしまったのだろう。
余りにもあっけないその仕事にため息が出そうになった。
「おいおい...、これなら村人でも充分倒せるんじゃ無いのか?」
彼女でも倒せるのだ、大の大人が倒せないわけがない。
まあいいか...、俺も腕試しがしたかったのが本音な訳だし良いとしよう。
続いて2匹目が現れたので俺が相手をする事にした。
しっかりと相手を見て行動を先読みする。
ここだと思うタイミングで剣を振るとあっさり倒せてしまった。
「おっ、当たった」
気持ちの良い感覚がこの手を通り過ぎていくのは心地よい。
俺が感傷に浸っていると、彼女が大声で俺に叫ぶ。
「ほらほらタルト!!、私が沢山倒しちゃうんだから!、タルトの出番はないよ!」
俺はそんな彼女の表情を見ると笑みを浮かべ闘争心をむき出しにした。
人と能力を比べるのはあまり好きではないのだが、今回はなんとなく試して見たくなったのだ。
「ぬかせ!、俺の方が沢山倒せる!」
俺とツバキは青い空の下で共に競い合った。
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