第16話 〜短剣〜
「短剣を貸してくれ」
「なんで?」
いきなり友人に尋ねられ短剣を貸してくれと言われたら貸す人がいるのだろうか?。
俺は順を追って説明し、彼女の了解を得ようとしていた。
「なるほど...話はわかったわ!、短剣は貸してあげる!だけどそのかわりに私も連れて生きなさい!!」
自信たっぷりの表情で俺に決めポーズを決めてくる彼女に冷たくこう言い放った。
「ダメ、これは仕事なんだ、相手は魔物だ、下手したら怪我をするかもしれない事に女の子を巻き込むわけにはいかない」
俺が男の子っぽい言葉を投げかけると、彼女は笑いながらこう言いました。
「はっはっはっ!、大丈夫!毎日鍛えたこの腕で下級魔物なんて一捻りよ!、見てなさいタルト!絶対にあなたよりも多くその魔物を退治して見せるわ!」
大きい声を出しながら剣を振るそぶりを見せる彼女を見て余計な危険が増えたなと思う俺だった。
「まあ、俺が嫌だって言っても付いてくる気なんだろ?」
「当然」
自信に満ち溢れたその笑顔を見ると逆に不安になる。
彼女が悪い人ではない事は日常を通して分かっていたのだが、それと同時に彼女がトラブルメーカー気質であることも発覚したのだ。
事あるごとに面倒ごとを増やす様子が容易に想像できるのがいい証拠である。
彼女の実力は確かに上がって来ているが、その体質が治る様子が全くない。
正直彼女を魔物討伐に連れていくのは反対なのだが、元気の良い声と彼女の実力に免じてここは連れていく事にする。
「わかった!ついてこい!、ただし!俺の判断には従って貰うからな」
「OKOK、任せてよ!」
胸を張る彼女を見るとますます不安が増してくる俺は異常なのだろうか?。
まあ俺がしっかりとしていればきっと大丈夫だと信じ込み足を前に進める。
「しっかりついてこいよ!ツバキ!」
片手を振りながら彼女の名前を呼ぶ。
「あなた誰に言ってるかわかってるの?、余裕でついて行くわよ!」
俺は彼女にウィンクをすると一気に走り出す。
「ちょっ!!、いきなり走らないでよ!」
彼女が怒りながらついてくるのを見て、俺は微笑んだ。
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