その2

 とある森の中、ある日の泉。

 それはもう、ひと目で女神と分かる眩しさ。


「あなたが落としたのは、鉄の斧ですか? それとも、銀の斧ですか?」

「金の斧です。祭のきこりコンテストで優勝しましてね。純金なんですよ、綺麗でしょ?」

「…………」

「早切り部門じゃ三位だったけど、高所切りで逆転勝ちしまして。いやあ、小さい斧も使いやすいもんだ」

「大事な副賞を落とすとは、粗忽者ですね」

「面目ない。嬉しいからって、持ち歩いちゃダメでしたねえ」

「以後、気をつけるのですよ」

「はい」

「もう無くさないように、私が保管――」

「返せや」

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