一緒に....

「はい、私です」


「わたし、同じ学校の1年なんですけど......」


「あっ、そうなんですね、驚きました!お困りの様ですね、どうされました?」


その女子は、長いストレートな髪で顔も整っている。

聞けば、30分前に出発したのぞみ号で、家族で大阪旅行に行くつもりだったのだが、母親と喧嘩して離れて歩いてたら知らずのうちに自分だけ乗り遅れたらしい。たぶん家族は自分が他の車両に乗ってると思いこんでるらしい。それで、どうしたらいいか解らないままホームを彷徨いていたら私を見つけたらしい。


「分かりました。じゃあ後ののぞみでおいかけるので、ご家族の方に電話していただいていいですか?」

「わかりました!」




「もしもし、父さん?

えっ、私まだ東京駅、ちょっと同じ学校の先輩にかわるね!」

「もしもし、お電話かわりました。娘さんの一学年上の佐藤と申します」

『もしもし、優佳の父です』

「早速ですが、ご家族さんの新幹線いまどの辺りか分かりますか?」

『さっき新横浜を出たんですけど....』

「そうですか....じゃあ、今から娘さんと後続の新幹線で追いかけますね。新大阪で合流するのは難しいと思うんで、泊まる予定ホテルに先に行っててもらえますか?私達もついたら連絡するので」

『いやっ、そんなお世話をお掛けするわけには..』

「いえ、私も大阪に行く予定があるんで....」

『じ、じゃあよろしくお願いします、娘がお世話を掛けて申し訳ありません』



「先輩、申し訳ないです....わたしが母さんと喧嘩したばかりに....」

「いやいや、YouTubeもいつも観ていただいて、これくらいは視聴者さんにすべきであるんで」

「そういや先輩、タメ口にしてくださいよ。せんぱいに敬語を使われると、凄い違和感があって....」


「分かった、じゃあ、とりあえず自由席の乗り場にいこうか」

「あの、せんぱい。いっぱい人がいて、またはぐれるのも嫌なので、手を繋いで貰ってもいいですか?」

「うん、わかった」


(せんぱいと手繋いじゃってるよ..////) 


(単に繋いだだけなのに何でこの子は顔真っ赤になってるんですかねぇ....)

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