第1話

【恋愛において、あなたは何が1番大切ですか?】


情愛学園じょうあいがくえん

この学園では『学業』の次に『恋愛』が最も大事だと言われていた。なぜなら、高校生活という時間は、子供から大人へと階段を登り終えようとしている時でもあり、人生の中で最も記憶に残る時でもあるからだ。


そして、生徒達の会話も常に恋愛話でもちきりだった。


「ねぇ、悠梨ゆり咲妃さき〜聞いてよぉ〜!また振られたのぉ〜!!うわぁ〜ん!!」


とある昼休みのこと、2年生の教室で『橘杏美たちばな あみ』『觜本悠梨はしもと ゆり』『紅川咲妃くれかわ さき』の3人が仲良く話をしていた。話の話題はもちろん恋愛について。


「もう泣かないでよ!!杏美あみの話し方だと泣いてるように聞こえないから分かりづらいし、振られるのはいつもの事でしょ!!」


「酷いよぉ〜!!」


「あぁ…それってこの間言うてた超タイプって人??」


「そうだよぉ〜!!私の好み どストライクだったのぉ〜!!」


「でも、確か杏美って3日前にも告白してなかったっけ?」


「そうだけどぉ…タイプだったからぁ…」


うなだれる杏美の言葉を聞いた2人は呆れた顔で答えた。


「3日前に告白したばっかりなのに、すぐ別の人に告白するから、きっと『相手の反応を見て楽しんでるんだ』って思われてるのよ」


「そんなぁ…」


「まぁ、あたしらは周りから変に敬われとるしなぁ…」


そう、この3人は学園内でも美人だと評判だった。


杏美は、キャラメル色の髪のツインテール、オシャレが大好きで成績は学年常にトップの女の子。


悠梨は、茶髪のショートカット、関西出身でメガネをかけた女の子。


咲妃は、黒髪ロングのストレートで清楚系せいそけいの女の子。。。なのだが、実はレディースの総長という顔も持つちょっと破天荒はてんこうな女の子でもあった。


「杏美は手当り次第に告白してるからいけないのよ。ちゃんと相手を見定めないと痛い目に見るよ?」


「咲妃は顔しか見てないくせにぃ〜」


「あ゛ぁ?」


「ひぃぃぃ〜!!」


「こらぁ!咲妃 喧嘩する時の顔になっとるで!杏美は余計なことわへんの!」


「うぐっ!」


「はぁ〜い」


悠梨の注意により、2人は大人しくなる。


「はぁ、確かに咲妃の言った通り杏美は手当り次第過ぎるから少し落ち着き。咲妃はしょーもない言葉に反応したらあかん」


「うぅ…気をつけますぅ…」


「…ごめん」


「うん!分かればええんや!」


杏美の余計な一言に咲妃が反応し、ブチ切れる。そんな2人を悠梨が注意するまでがいつもの流れであり、日常の出来事であった。


いつもの日常通りなら、ここで3人の話が終わる……はずだった。


「おっ!みーつけた。そこの美人な御三方おさんかた、今日の放課後は俺たちと一緒に遊ばない?……というか、俺らと付き合わない?」


この日だけはいつもと違ったのでした。


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