僕のヒロインは今日、双子になる。

もちお

第1話 万国共通のヒロインルール

どんな物語も、真の『ヒロイン』とは一人だ。


サブキャラかどれだけ可愛かろうが、セクシーな服であんなトコやこんなトコを押し付けてこようが、そんな賄賂で立場がひっくり返ることはない。


波乱曲折はあったとしても、主人公と輝かしい未来を歩むことができるのは真のヒロイン、ただ一人だけ。


それは小説にしろ漫画にしろ、アニメや映画であったとしても、変わらない真実。そして、僕の人生の中であったとしても……


僕の世界にとって、輝かしいヒロインとは、いつだってあの子だけだ。


同じ街、同じ学校、同じ教室で一緒に過ごし、今だに言葉どころか視線さえも交わせない僕だけれど、そんな僕だけれども、彼女は自分にとって永遠のヒロイン。


一途で純情の僕の想いは、どんな物語のヒロインルールなんかよりも頑強で揺らぐことはない。モブだろうが、サブだろうが、いかなる美女があれやこれやと誘惑してきたとしても、僕の決心は岩のごとく揺らぐことはない。その変わらぬ想いこそ、僕とあの子を繋ぐ、唯一の証なのだ。


しかし、そんな万国共通のヒロイン理論は、ある日のホームルームで発覚した事実によって音もなく崩れ落ちてしまった。


突然我が身に起こった、脚本崩壊ならぬ世界崩壊。


なぜなら彼女は……



実は、『双子』だったのだから。

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