艦装少女-フリートレス- 異世界に着任しました!

来賀 玲

プロローグ:世界の危機でした




 ────私と初めて会う司令官は誰でしょうか?

 出来れば、かつて私の名前を冠した勇猛果敢な駆逐艦くちくかんのように、最後まで立派に戦わせて貰えると言いなって



 ───私の名前は夕立ゆうだちです

 私は……人類の未来と、制海権を守るために、





 今、建造うまれようとしています









 ────空を眺めていた人類は、ずっと間違った方向を見ていました


 地球外生命体はある日突然、海の底からやって来た。


 海洋プレートに崩落が生じ、時空の裂け目を通って。




 Dimension

 Entered

 Enemy,from

 Parallel world




 D.E.E.P.


 敵は、そう呼称された。

 接触から半年とたたず、人類はD.E.E.P.の攻勢により制海権を喪失。

 人類は、敗北した。






 ───そして、再び立ち上がるための兵器が必要だった。


 艦艇と同じ火力を、より高起動に、より小さく。


 最新の技術をもってたどり着いた結論は、


 かつて海を支配していた『ふね達』を蘇らせる事。


 それも、自立するために人間のような姿と思考を持たせた、艦を。


 バイオ技術、ナノマシン、兵器開発、全てを注ぎ込み、D.E.E.P.を倒すため産み出された、ある意味旧式でどんな兵器より最新鋭な、海を制するモノ、









 私達を、


 人は『艦装少女フリートレス』と名付けた。









 世界の海を取り戻す為、私達は今も戦っている。

 かつての艦船の名を背負い、人類の繁栄と存続の為に。








 ───そして、今、



 私たちの核となる特殊物質『コアフリートリア』を中心に、素体が構築され、艤装が完成していきます。


 身体と共に必要な自我情報が構築されて、私は生まれます。


 そう、私の名前は、





「───はじめまして司令官、」


 私は、私の名前は、




駆逐艦装少女デストロイフリートレス白露型4番艦の夕立ゆうだちです!

 どんな戦場だろうと、最後まで戦いましょう、ね……??」







 私の名前は、夕立です。

 ところで…………ここはどこですか??






「………………」




 目の前には、多分……ええ、多分?司令官??


 ……私よりか弱そうな女の子じゃないですかー


 いやいや!見た目で判断しちゃまずいです!

 考えてもみれば今は人類のピンチ!ティーンエイジャーな士官ぐらいいます!

 ほら、格好だって制服っぽいですし…………どこかの学校くさいですけど……


「…………あ、あなたが司令官ですか?」


「ふぇ!?」


 ……まずい、反応までなんだか初々しすぎますよ、ええ……!!


「……あのぉ、まずここは?

 大東亜連合軍の基地ですか?」


「だい……まって、待って!」


「はい、司令官!」


「ここは、そのだい……なんとかじゃないの!

 あなたは……この世界に『流れ着いて来た』だけなの!」


「…………なんですって?」


 なんですって?(自問自答)


「外を見て!」


 言われて外を────いや、よーくみれば周りはなんか廃墟っぽいといいますかー、なーんかレンガ造りの壁にコケやらなにやらと嫌ーな予感はしたんですが、見ましたよ。







 月が二つ。

 下にはいっぱいの水と緑。

 近くを飛ぶ幻想的な光る群は、よくみればなんか虫の羽の生えた人型……




 もし、この時の私の間抜け面を写真に撮られた物なら、きっと基地内では掲示板に張り出される事間違いなし!






 そんな場合じゃありませぇぇぇぇぇぇぇん!!!





「あばばばばばばばばばば……!?!?」


「───聞いて、異世界の……えっと……召喚獣?さん。

 私は、エルウィナ。魔界か神の世界かは知らないけど、貴女を呼び出したのは私です」


「はひ!?」


 つまり…………つまり???


「あの……召喚契約を結んで……くれません?」


「……詳しく説明してください。


 もう、冷静に対処できる範囲越えてるんですよぉぉぉぉおぉ!!!」






 どう言う事なのか……全くわかりませんけど、



 とりあえずこのエルウィナという女の子は意外と優しかったので、その後動揺しすぎてダメだった私の事を介抱してくれました。

 ちっちゃい身体なのに艤装のまま膝枕させてもらってごめんなさい……


 そこだけは良かった……??





 いや、良くない…………


 ここどこ…………???


 私はどうすれば良いんですかねぇ……???




          ***

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る