第5話殺すことは出来ない

殺せない

父の後を継ぐように育成しになったが、このとき初めて自分がドラゴンが傷つく所を目にしていないのに気づいた。

軍から戦いで傷ついたドラゴンを預かることはあったが、私は今までドラゴンを傷つけたことがない。

常に父から慈しむようにと厳しくしつけられ、苦しいときはドラゴンの腹に体をあずけ泣いたものだと……。

「まだ生まれたばかりだ、足下の毛もある、もしかしたらまだ鱗が乾いていないだけかもしれない」

「ほんと!」

「ああ、現にこんなに足は真っ白だ、きっとすぐに全身の色も生え替わるだろう」

ネネットは歓喜を挙げドラゴンに抱きついた。

ドラゴンもまたそれに喜び、喉を大きく鳴らせた。

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