僕の好きなもの [370文字]
「ジャム、作ったから食べて」
そう言って彼女は今日も図書室へやってきた。
初めは橙色したマーマレード。
蓋を開けたら少し焦がしたのだろうなと分かる匂いがしたっけ。
次は赤色イチゴジャム。
砂糖を加減しすぎたのか、かなり甘さ控えめだった。
今日は何かと紙袋を開けると、中から香るブルーベリー。
「あ、ブルーベリー、一番好きなジャム」
「知ってる。だからなかなか渡せなかったの」
あぁ、可愛いな。
図書室でジャムの瓶は開けられなかったから、代わりに彼女の唇の横に付いていた紫色を、ぺろりと、舐めた。
「うん、最高に美味しいね」
彼女は真っ赤な顔して口をぱくぱくさせて、僕を睨み付ける。
そんなふうに睨んだって、可愛いだけなのに。
その唇に、その手に、その首筋に、その身体にジャムを塗り付けて、何もかもを味わい尽くしたいだなんて言ったら、もっと可愛い顔を、見せてくれるかな?
お題:橙色・ブルーベリー・図書室
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます