生まれ変わりたくもない [500文字] ※身内からの陵辱あり
制服姿のまま兄に蹂躙される私を、テディベアだけが見つめていた。
父も母も仕事で留守の家の中は、やけに静かで。
兄の声と、私が手をつくテーブルの軋む音だけが響いていた。
隣の家から、カレーの香り。
小学生たちの駆け回る足音、笑い声。
テーブルの上に、ミシンと裁ち鋏が出しっぱなしになっていた。
可愛い布を見つけたから、ポーチが出来上がったらあげるねと、母が言っていたっけ。
ごめんね、お母さん。
ポーチは、もらえないや。
私は裁ち鋏に手を伸ばし、今まさに絶頂に達しようという兄の首を狙って勢いよく身体を捻った。
何が起きたのか分からない様子の兄は、まるでスローモーションでも見ているみたいにゆっくりと床に転がる。
じわじわと広がる血の池が、白い靴下に染み込んでいった。
汚い。
ごめんね、お母さん。
ごめんね、お父さん。
私は靴下を脱いでゴミ箱に放り込み、シャワーを浴びて、パジャマに着替えた。
少しだけ持っていた睡眠薬を飲んで、流しの下から包丁を取り出す。
それからテディベアを抱きしめて、自分の手首に刃を這わせた。
兄と同じ日に死ぬのは少し嫌だけれど、せめて違うモノで、違う死に方をしよう。
願わくば、死後の世界など、ありませんように。
お題:鋏・テディベア・制服
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