全てを魔女のせいにして [274文字]

「神様は魔女が嫌いだなんて迷信さ、十字架も祈りも、あたしらには無意味。分かったらその十字架を下ろしな。そうまでして生きたいのなら、助けてやる」


 そう言って、魔女は私を担ぎ上げた。

 どうして、魔女が私を助けてくれるのだろう。

 だって、だってこの村は、あんなにも魔女を嫌っていたのに。


 燃え盛る家々が、爆ぜる炎が、肌を焦がす高温が、全てを夢ではないと伝えている。


 一体誰がこんな酷いことを。


 いつもなら、魔女の仕業だと決め付ける筈だけれど、今の私には無理な話だった。


 魔女は、神様よりも私を助けてくれた。

 魔女は、両親よりも私を助けてくれた。


 私は今、楽園に生きている。




お題:神様・迷信・楽園・魔女

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