月が綺麗ですね [180字]

「月が綺麗ですね」


 とうとう僕は口にした。


 憧れの先輩に。


 麗しの先輩に。


 満月の輝く雲ひとつない夜。


 満月よりも輝く先輩に。


 先輩はその唇を三日月みたいに薄く開いて僕に言った。


「それなら、貴方は太陽ですね」


 あぁ、敵わない。


 どうしてすぐにそんな返しを思い付くのだろう。


 だから好きなのだ。


 だから恋に落ちたのだ。


 僕の愛を反射して美しく輝く先輩に、僕は太陽のような笑顔を返した。

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