なぐものおもちゃばこ

南雲 皋

肉まんが一番美味しい日 [368文字]

 気温に関係なく太ももをさらけ出した短いスカート。

 マフラーさえ巻いておけば意外と寒くないものなのだと自慢げに言った瞬間くしゃみをした彼女に、僕は笑って湯気の立つ肉まんを差し出した。


 彼女は赤くなった鼻をズビズビ言わせながら肉まんを包み紙ごと僕の手から奪い取ると、はむっと音が聞こえて来そうな勢いでかぶりつく。


はふあつーーー!!!」


 そりゃ、そうだろう。

 割ってもいないのに湯気の立つ肉まん。

 中身はもっと熱いに決まってる。


 はふはふ言いながら一口目を食べ終えた彼女は、僕にその食いかけの肉まんを見せてきた。


「食べる?」

「大丈夫」

「食べなよ」

「いいってば」

「私もそのあんまん食べたいから交換すんの!!!」


 言うないなや彼女は僕のもう片方の手に握られていたあんまんにかぶりついた。


「あ」

「!!! んんあづーーーーーーっっ!?」



 教訓。あんまんは、肉まんより、熱い。

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