第8話 9月13日
今日、僕の閉じ込められている部屋に黒服のプールクランといっしょに、ひとりの男の人がやってきました。
最初はプールクランだと思ったのですが、人間の言葉を話しました。
「あなたは人間なのですか?」
と僕が尋ねると
「ああ、僕は人間だよ。通訳をしにきたんだ」
僕はパパ以外の人間に会ったのは初めてなので、少しドキドキしました。
男の人はたぶん、プールクランに捕まえられても殺されず、通訳として働かされているのでしょう。
どうしてプールクランの言葉がわかるのか知りませんが、プールクランの言葉がわかる人間は珍しいのだと思います。
「パパのことを知りませんか?パパに会いたいのです」
僕がそう言うと、その男の人はこう答えました。
「パパのことは知らないな。でもママが来ているよ」
僕はびっくりしました。
男の人が扉を開けると、ひとりの女の人が泣きながら走り寄って来て僕を抱きしめました。
その姿は写真でいつも見ていたママでした。
ママが生きていた!そのとき僕はとてもうれしい気持ちになりました。
でも違いました。それはママではなかったのです。
ママの姿をしたそれは、気持ち悪いガーガーした声を出しました。
ママに擬態したプールクランだったのです。
僕はとてもがっかりしたし、腹が立ちました。
プールクランとはなんという意地悪な生き物なのでしょうか。
僕はそのプールクランを両手で突き飛ばして言いました。
「出ていけプールクラン。パパに会わせろ!パパをどこにやった」
ママに擬態したプールクランは男の人と黒服のプールクランに肩を支えられ、おずおずと部屋から出て行きました。
神様、パパもこの基地に捕らえられているのでしょうか?
それとも逃げ延びていて、僕をたすけに来てくれるのでしょうか?
パパ、早く僕をたすけにきて!神様、パパに会わせてください。
お願いします。
お願いします。
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