「大きくなったわね、私の可愛い子」

冷たい手が僕の頭を撫ぜた。

「この子が誰の息子ですって？

私を愚弄して挙句更に貴方まで奪おうとするなんてさせないわ」

そのカスケット帽、まだ持っていたのね。そう言って彼女はどこか懐かしい笑顔で微笑んだ。

僕は何故か分かっていたのだ。彼女が何者なのかという事を。

「会いたかったよ、僕だけの母さん」

母さんの声が、昔聞いた童謡を歌った声と重なったような気がした。

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