美桜、異世界で生活
「ベルナルド、
今日は怪我人もいる 又出直して
こよう。
母上、帰ります。」
そう言うとベルナルドさんと息子さんは部屋を出て行かれた。
側近のベルナルドさんは
振り返り振り返り、
汗をフキフキ帰って行った。
そんなドタバタな修羅場を覗いたせいか、疲れた身体は又眠りに落ちて行った。
冷たい感触に目を覚ますと、
美桜の手には氷嚢が乗っていた。
金髪のワンレンヘアーのお后様が、
ブルーのビー玉の様な目をして
美桜を見下ろしていた。
「まだ痛むのかい?」
心配そうに聞いてくる。
何処か
カフェおばちゃんを思い出させる
気の強さと温かさを兼ねそなえた
大人の女性。
「少しだけ・・・」
と答える美桜はピンクのスモック
の可愛らしい花柄のパジャマを
着ていた。
腕には点滴が刺さっていた。
美桜が不思議そうに見ると
「熱もあったし、脱水も起こしてた
し、痛かったら教えてね。」
美桜はコクンと頷くのが精一杯
安心したのか又眠りに落ちていった。
それから芝刈り機の音と
窓から差し込むオレンジ色の光の
眩しさで目が覚めた。
辺りを見回すと部屋は
グリーンで統一されていて
ベッドの枕だけがピンクのレースで
縁どりされていた。
点滴も抜かれてスッキリとした気持ちで元気も出てきた。
窓を開けると白、黄色、赤、の
野薔薇が出窓のした迄張っていて
甘い匂いを漂わせていた。
庭には、芝刈の後に、
雀に似た小鳥や、色とりどりの鳥が
虫を食べに集まっていた。
チョンチョンと頭を芝つつくように
顔を上げてはチョンチョン
下げてもチョンチョン
愛らしい姿は異世界も
日本も変わらない感じ。
厚い取っ手の付いたドアを開けると
シチューの様な、コーンポタージュのようなそっち系の美味しそうな匂い
美桜はテーブルの上に畳んである
美桜が着ていたジャージに着替えた。
“クンクンクン“
伸びたSの字に流れ漂う香りに
誘われて自然と足はキッチンへと
向かう。
全面、木で作られたキッチンは
庭が見渡せる様な作りで
食器棚が高く大きく備えてあり
庭の近くにテーブルがドンと
構えていた。
芳しい珈琲の香りがする。
少し中に入ると50代位の黒人の
ターバンを巻いた
90キロ位ありそうなデカい
女の人がおしりをブルンブルン
させながら料理をしていた。
赤いシャツに白いエプロン
フレアスカートの彼女が振り向いて
ドデカい目を更にまるくして叫んだ
ギャーっ‼Ahびっくりしたー
持っていたオタマをボーンと
振り投げた。
「す、💦すみません、ビックリさせる
つもりは無くて・・・あのぉ〜」
「あ、あああ‼良いんだよ。
私も誰も居ないと思ってたからビックリしただけだから、ハハハハハハハハハハ
ハハ気分はどうなんだい?」
「はい、もう元気になったみたいです。」
「びっくりしたよ!若様が見つけなけ れば朝まであのままだったよ。
襲撃の時、私達は逃げたけど
アンタは どうしてココの庭にいたの?」
「あ、ああの・・・」
「オイオイ、ロザリー
怪我人に何聞いているんだよ!
誰にだって事情があるさ、
言い難いこともある‼
お嬢さん、気にするな‼ロザリーは
知りたがり屋でね。」
突然キッチンに入って来た男性は
矢張り黒人で背が高 く、
がっしりした男性で、とても優しそうに笑う人だった。
「ああ、ボブ、芝の刈り入れは、
終わった?」
2人はとても仲良さそうで、
よくよく聞けばこの御屋敷に
務めだして結婚したそうだ。
「ありがとうございます。
美桜(みお)ともうします。
今記憶が無くてすみません。
戦闘が起きていて、どっちに進ん
だらいいか分からなかったんで
す。」
「あ、ああ💦あの戦闘で・・・
やっぱりね ごめんよ、
事情があるんだね。」
「えっとすみません、
ここの庭に居たのは何か
食べ物を頂きたくて ・・・」
`,、 '`,、「お腹空いてたのかい?」
「そりゃ可哀想にね、
挙句、あの襲撃だもんね。
それに怪我してるし
そうそう、美桜何か飲むかい?
一週間眠ったままだったんだし
ミルクでも飲んでて、もうすぐ
奥様が帰られるから食事だよ。」
ロザリーさんはデカい口をあけ
ガハハと笑い温かいミルクを
差し出して来た。
嘘を付くつもりは無かったが、
橋を渡ったら異世界だったなんて
説得力も無い。
ならば記憶喪失にしていた方がいい。
ん?
今、一週間?って・・・
「え、えっ、一週間?1日じゃ
なくて?」
2人は顔を見合わせて、
一瞬固まった様子で・・・
「い、いや、君が運ばれて一週間
たっよ。
その間、ロザリーが奥様と2人で
世話をしていたんだよ。」
美桜はビックリした。
1日と思っていたのが・・・一週間‼
眠ったままだったとは・・・
「ロザリーさん、ボブさん、
有難うご ざいました。」
美桜は深々と頭を下げた。
「いやだよ〜当たり前の事をした
だけさ、それ より傷は大丈夫か
い? 凄く腫れていたからね」
美桜は拳を回して、ニッコリ微笑んだ
「はい。大丈夫です。」
美桜はホットミルクを頂きながら
疑問があった。
左手薬指の中からオレンジ色の光が
薄くみえていた。
まるで結婚指輪のように?
そしてこの指輪が体に入った時から
ここの会話が理解できる。
見たことも聞いた事も無かったのに
字が読めるし、書ける!?
そんなはずは無い、そんな事は無い
と自問自答しているが、
現実、言葉を、字を理解できている。
あの虹をあびたせいか?
指輪のせいか?それとも、順応性?
いやいやいやナイナイ
不思議な事もあるもんじゃ。
美桜は爺さん口調になってしまう。
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