第一話「俺以上に可愛い奴はいないと思ってた」
今日もアラームで目が覚める。
もう朝の五時だ。
今日は日曜日で、朝からアニメのイベントがある。
「おはよー」
リビングに行くと妹が朝ごはんを作っていた。彼女は俺の可愛い妹のまふゆ。
休みの日の朝五時だと言うのに全く面倒見がいい。
俺は挨拶を返し席に着く。
「お兄ちゃんの朝ごはんを作ってあげたんだから分かってるよね?」
妹はいわゆる隠れオタクという奴で朝ごはんを引き換えにグッズのお使いを頼んできた。
「あぁ、例のフィギュアだろ?」
そんな話をしながら俺は早々に朝飯を済ませ家を出た。
駅まで自転車で行き、それから電車で約三十分で着いた。
俺が着いた頃には大行列が出来ていた。だが、待ち時間は何処を回るかなどのスケジュールを確認していたらすぐ終わった。
無事欲しいものを全て手に入れ電車に駆け込んだ。
遠足と同じように帰るまでがイベントだろ?
帰ったらどれから開けようかなんて考えながら駅のホームを出た時、そこに彼女は居た。
朝日奈結衣だ。
いわゆる美少女で、一応俺の幼馴染みだが最近は話す事すらしていない。だが、彼女は迷子みたいだった。
「どうしたんだ?」
嫌そうな顔になっていないか心配になったが話しかける。
すると彼女は、涙目を擦りながら笑顔を見せる。
「実は、携帯の電池が切れちゃって電車に乗れないの」
彼女は、お金をを全て携帯の電子マネーに入れていたらしく電源が切れて電車は愚かモバイルバッテリーすら買えなかったらしい。
だが、俺は早く帰って戦利品を見たかったので電車賃として千円だけ渡して帰った。
要らないと言われたが、無理矢理渡してきた。
正直彼女の笑顔は俺よりもものすごく可愛かった。
あの瞬間の笑顔は一万円払っても足りない可愛さだった。
少し時間を食ってしまったが、家に駆け込み戦利品を見ながらさっきの事を思い出していたのだった。
そんな事をしていたら時計の針はすでに六時を通り過ぎていた。
妹に戦利品を分け与えた後、ごはんを食べている時に突然俺の携帯が鳴った。
友達が少ない俺には家族以外のメッセージは新鮮だった。
通知に表示された名前は結衣と書いてあった。
何故知っているのか考えながら、俺は面倒だと思い返信は後回しにした。
ごはんの時に来た通知以外は風呂を入ってもテレビを観てても来なかった。
時計の針が十一時を指した頃に、俺はスルーは酷いと思い返信をした。
〈今日はありがとう。とても助かったよ!お金は明日返すね〉
俺は〈別に、返さなくていいよ〉と返信し布団の中に入った。
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