第2話曽祖父の日常 前編
「今日も碁行ってくる」
「総子は何時に来る?」と曽祖父は早口に曾祖母に話しかける、「さあいつも通り夕方には着くと思いますよ」と軽く流す曾祖母、
「そうかなら行ってくる」と曽祖父はヒョロっと足取りが軽いのか重いのか判別つかない足取りで家を出る、碁とは曽祖父が唯一の趣味なのかそれともいい言い訳になるから通うのかは分からないが、週3回ペースで必ず通う町内会の囲碁の会の事で、所属メンバーもこの話をしてくれた祖母いわく曲者揃いの酒に強い金持ちだらけらしく囲碁の後は必ず集団でどこかに出かけたりする人もいる独特の集まりだったらしい笑、突然旅行共なる事もある足取りの軽さも町内会では有名だったとか笑、この囲碁の会に行く時は必ず曽祖父は、前日に娘の総子電話をして呼び曾祖母に晩飯なりどこかで劇や映画を見てこいと呼ぶそしてその際は書斎に封筒(10万円入り)を置いてから出る、もちろん常にそういうわけでは無いが前日に会えば前日に10万円渡したりする事もあったらしい、もちろん娘の総子つまり祖母も暇では無い、祖母はオーダーメイドの服を作るデザイナーでほぼ毎日のようにいろいろなところに出ては服を作る訪問販売?に近い形で仕事をしていたので暇に見えて暇ではなかったのである。それでも曽祖父の呼び出しに答えるのは、自分の母親と晩ご飯を共にするだけで、父親から10万円が週3回も手に入るという美味しい臨時収入あり更に自分がお金に困った際全て助けてくれる保障が付いていたからである。
予定よりは遅れて「おかちゃん来たよ」とちょうど夕食時2時間前くらいに娘の総子が屋敷に着く、「お総子来たんか入り」「うん」とたわいもない会話をしながら家に入る
「いつもありがとう総子」「おとうちゃんからちゃんともうてるしええよ」とほくほく顔で総子は答える。
「今日は何食べたい?」「う〜ん中華食べたいな」「それなら金座アスター行こか?」とたわいも無い会話をして、曾祖母と総子は、タクシー呼び上本町金鉄に向いレストラン街にある金座アスターで高級中華を堪能し、帰宅する。
タクシーで帰ると曽祖父がリビングでブランデーを堪能していました
「おう総子今日はありがとうな」とにこやかに笑っているはずなのに悪代官笑いにしか見えない笑顔で曽祖父は総子に言う、
「おとうちゃんの頼みやしええよ」とこちらも悪代官笑いで答える、「まあ茶でも飲んでゆっくりして行き」と歓迎ムードで、数十分ほど家族の団欒を楽しんだ後、曽祖父がおもむろに、「総子また来週もこの辺で頼むわ」と10万円を持ちながら総子に問いかける、すると「ええ来週は〇〇さんの仮縫いあるから無理」と答えると「そういえば総子、信行くんの店の仕入れ支払いあれどないしてん?」とおもむろに心配顔で問いかけると「それどないしよかまよてんねんおとうちゃん」と戸惑いながら総子は答えると、「そうかならそれもなんとかしたるから来週も頼むわ」と言うと、「え、ありがとうなら遅なるけど行くわ」とあっさりと方針を変え総子は答える。すると「なら日曜に店来なさい、信行くんのお金と仕晩飯代渡す」と言いつつ、3万円ほどタクシー代を総子に渡しリビングに戻ると曾祖母が、「総子タクシー着いたから帰り」と曾祖母が言うので総子は用意して、総子は玄関で「おとうちゃんおかあちゃんまた来るわ」と挨拶すると、曾祖母は「あんたも忙しいねんから適当にしいや」というからと曽祖父は「うんまた頼む」と答えるそして総子おばあちゃんは曽祖父の屋敷を後にする。
少し付け加えると祖母の総子おばあちゃんは、当時から今は亡き祖父信行おじいちゃんと結婚していて祖父はタバコ屋兼時計屋を営んでいたのであるが基本的に祖父のお店は売り上げの波が津波もびっくりなレベルで激しかったので、一家の大黒柱としては祖父というよりは祖母が稼いでいました、ですので仕入れが細った時は定期的に総子おばあちゃんは曽祖父に頼っていたそうです。
作者メモ
だいぶ遅れてしまいましたが2話目です、今回は曽祖父の行動パターンについて軽く書いてみました、次回は行動+祖母視点を後編として書いて行きます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます