第43話 クラスメイトと異世界の美少女達
「ごしゅじんたま……? ご主人様ってこと? え、桔梗君が?」
「ってか……何この美少女ちゃん達」
桔梗や、少女達の方をキョロキョロと見ながら、有紗と柚菜は困惑した表情を浮かべる。
そのまん丸に開かれた目には間違いなく少女達の姿が映っており、もはや言い逃れは叶わない。
いや、勿論桔梗はクラスメイトの2人と、異世界の少女達とも恋仲では無い。
しかし何故だろうか、桔梗は何となく浮気がバレた夫の気分になりながらも、立ち上がると2人の方へと身体を向け、何とか説明をしようとし──ここで追い討ちをかける様に、
「ご主人、知り合いっすか?」
と、桔梗の後ろからヒョコリと覗き見る様に、シアが2人へと視線を向ける。
そして続く様に、
「あら、桔梗様のお知り合いですの?」
と後方からルミアが声を上げる。因みに人見知りを発揮したのか、ラティアナは桔梗の腰に抱きついたまま時折チラとクラスメイトへと視線を向け、リウは不安げにルミアのドレスワンピースの端を摘んでいる。
「ご主人……? 桔梗様……? やっぱり桔梗君がご主人様?」
「どゆこと? そーゆープレイ?」
更に困惑した様子で、2人はコソコソと話す。
「てか、めっちゃ綺麗な白髪だし」
「後ろの子の銀髪も綺麗……けど銀髪って……染めている様には見えないし、天然? でも天然の銀髪なんてこの世にあったっけ?」
桔梗の周囲に複数人の美少女。
それも精巧な人形では無いかと思わず疑ってしまう程に、現実感の無い美しさの少女達に、2人は理解が追いつかない様である。
一方の桔梗はと言うと、かつて魔王と戦った時ですら見せなかった焦りを存分に表へと出しながら、
「あーえっと、この2人は僕のクラスメイトでね……」
と異世界の少女達へと伝え、今度はクラスメイトの2人の方へと向き直ると、
「決してプレイでは無くて、これには深い事情が……」
と説明しようと試みる。
そんな彼らの様に、ザワザワと騒がしくなる周囲。
時折「浮気」やら「修羅場」という声が響く中、ここで有紗がハッとすると、キョロキョロと周囲を見回す。
そして、現在の自身達が騒ぎの中心になっている事に気がついたのだろう。
桔梗と美少女について色々と気になりつつも、これ以上ここに止まっては迷惑だと考えたのか、
「んー、まぁ何でもいっか」
とあっけらかんとした態度で声を上げる。
思わずキョトンとする桔梗と柚菜。
対し、有紗は柚菜だけに見えるよう、パチンとウィンクをする。
それを見て理解したのか、柚菜はハッとすると話を合わせる様に、
「そうだね! 態々追及する事でも無いか!」
「えっと……」
困惑する桔梗。そんな彼をよそに、2人は互いに視線を合わせると、
「さて、そろそろ行こっか、有紗ちゃん」
「ん、そだね。じゃーね、いっちー」
一拍開け、ニヤニヤと笑うと、
「また明後日ね」
「……う、うん。また明後日」
言葉の後、2人は手を振りながら歩いていく。
無邪気に手を振り返す異世界の少女達。
そんな中、桔梗はボーッと2人の方へと視線をやる。
……もしかして、助けられた?
きっと空気を読んでくれたのだろうと思い、その心遣いに感謝をする。
しかし同時に、桔梗は先程の言葉を忘れられずにいた。
『また明後日ね』
……うん、どうしよう。
その言葉の重みに、何て説明しようかと桔梗は頭を悩ませるのであった。
--------------------
1度目の遭遇は軽め。次はガッツリです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます