只今参上!!転生したトラック野郎

陸の船乗り

噂の粋なトラック野郎

第1話 波乱万丈な生き様と謎の女

「お疲れ様でした~ 明日も午前3セット午後4セットよろしくお願いします~!!」仕事終わりに仲間に声を掛ける自営業大型ダンプ運転手 近藤龍一郎 彼の人生がその瞬間から変わった


「近藤さ~ん!! それに有田さ~ん!! 金村さん!! ちょっと現場監督からのお呼び出しがあります」重機オペのひとりが言った 3人は錆びたプレハブ小屋に入り 現場監督からこんな事を聞いた

「実は...最近取り締まりが厳しくなってきた 上司からは整備不良車を現場に入れるなとの指示があった...」

確かに龍一郎が乗り回す大型ダンプ"テラヴィ"は 違法改造といっていいほど飾っている 仲間の有田さんや金村さんだってそうだ

「明日からは残念だが...もうここで土砂を運べない 多分この辺りの現場はみんなそのはずだ 悪いが...明日からは現場には入れないよ」

「つまりもう仕事が無くなるんですか?」龍一郎は悔しげに言う

「そんな...確かに世間はそんな風に見てるが俺たちはいつだって安全運転さ 頼みますよ監督さん」金村さんが言う 有田さんも頷く

だが監督は首を横に振るばかり

3人は錆びたプレハブを出た 鉛色の空に悔し涙 龍一郎は唯一の仕事と生き甲斐が無くなるとさえ考えた

龍一郎はハンドルを握り 次々とあらゆる現場に回った だが話はすでに回ったのだろう どこもかも入場禁止だった

宛もなく龍一郎は市内をテラヴィで彷徨った 彼には家族もいない 9年前の交通事故により 彼の家族全員が亡くなったからだ...

深夜2時といったところだろうか 龍一郎は果まで続く国道をただただ突っ走った

季節はもう冬に突入したのだろう ヒーターは壊れ隙間風も酷かった

龍一郎はタバコに火をつけカーラジオを付けた 昔流行った演歌を流してただただ前に進む

と その時 龍一郎ふと何かに気づいた ぼやけるヘッドライトに人影が映る こっちに手を振ってるようにも見えた

龍一郎はハザードランプをつけ 人影の近くでダンプを止め 窓を開けて外を眺めた 寒風がどっと吹き込む

「どうしたねぇさん ヒッチハイク?」彼が見たのは黒く豊かで長い髪を持つ少女 もう冬にもなるのに妙に露出が多い

少女はこう答えた

「ええ ちょっと...そこまで乗せてください 」

「いいぞ 何もねぇけど 乗ってけ乗ってけ」

「はい!! ありがとうございます!!」

謎の少女は礼儀良くステップを登りながら 不気味な微笑みをした 龍一郎は気づいていない

...ズドドドドドド...ヒュルヒュルヒュル...ズドドドドドド......

無言の運転台には力強い排気音が響き渡る

そこから 龍一郎は その少女の招待がとんでもない存在だと知ってしまう...

続く

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