忠義の条件
「構いませんよ、姫様」
「マークス⁉︎」
アルフレド王とサシャさん、それにカーマインさんまでもが咎めるような目でぼくを見た。
クラファ殿下は表情を消し反応もないまま静かにぼくを見ている。
「どんなものがご希望ですか。威力が強いの? 音が小さいの? 射程が長いの? それとも、たくさん撃てるのが良いですかね? ほら姫様、これからたくさん殺さなくちゃいけないですから」
「……隠し持てるものだ。手が届く距離から殺せれば、それで良い」
「だったら、これをどうぞ」
肩から外した
「マークス、殿。……あなたは、ずっと持っていましたね、これ」
サシャさんの抗議の声を無視して、ぼくはクラファ殿下に笑い掛ける。
「悪くない銃です。射程は
手を伸ばそうとした姫様に、ぼくは出来るだけ優しく話し掛ける。
「その代わりといってはなんですが、ひとつ頼みを聞いてもらえませんか。
「“隷属印”の解放ならば受け入れられん。猛り狂った挙句、魔物のようになって死ぬのだろう? “主人を守るため”の“最期の奉公”など御免被る。契約は解除してやるから、貴様は貴様の人生を生きろ」
「はい」
あれ、マズいな。即答し過ぎたか。
クラファ殿下どころかアルフレド王まで疑わしそうな顔でぼくを見る。回避回避回避……
「
「……」
「ご心配には及びません。ぼくは、北の外れにあるという自由民の国リベルタンに向かいます。そこで土を耕し家畜を育てて……」
「マークス様」
振り返ると、カーマインさんがぼくを見ていた。
奇妙に遠くを、ぼくを突き抜けた
「それ、なんですか」
「え? ……それ、とは」
「その、四角い動く家みたいな、棒の先から火を噴く、クラファ殿下の服に似た色の」
「!」
……マズい、
慌てて思考を切り替えようとしたところでアルフレド王が声を掛けてきた。
「カーマイン、何が見えている」
ちょッ、この世界にプライバシーはないの⁉︎ ないだろな。階級社会って、特に。
「……いまは、クラファ殿下の顔が。……遠くから、隠れてずーっと見てます」
「だから! 言い方⁉︎」
しかもそれ、ぼくじゃなくてマークスの記憶じゃん!
「……マークスは、おおかた、わたしより先回りしてエルロティアを滅ぼそうとしたのだろう」
「「え」」
バレた。そりゃバレるか。姫様とマークスの心はどこかで繋がっているような感じが、ずっとしてたから。
それは、読心術とはまるで違っていた。
「頼りにならない
M9をテーブルに置いたまま、クラファ殿下はぼくに近付く。思い詰めた顔も、装っていた無表情も、もうそこにはなかった。
彼女は、ぼくの頰に触れて囁く。
「お前が欲しい。わたしには、どうしても必要なんだ。頼む、もう少しだけお前の身体を貸してくれないか」
ええ、ええ良いですよ。最初からそのつもりだったし、姫様のためなら何でもします。
けど、もう少し、言い方⁉︎
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