ライフタイム

SIN

第1話

 兄弟が3人いる。

 上に双子の姉と、兄が1人。

 2人の姉は俺よりも9つ上で、兄は5つ上。そんな俺は高校入学したばかりだ。

 ヤエ と エマ。これが姉達の名前で、兄は タケ。皆覚えやすいようにと2文字に拘ったらしいのだが、俺は1人、とんでもなく長い名前を付けられている。

 シュンイチタロウ。そのままシュンでも良いんじゃないかと子供の頃両親に幾度となく講義はしたのだが、まぁ……無駄な努力だった。

 現在、俺達の両親は2人共健在ではない。

 両親は死ぬ直前になっていきなり結婚式を挙げている。

 それまでは一貫して同居人としての姿勢を崩さなかったのに、だ。

 もしかしたら自分達が事故に遭うって事を知っていたんじゃないか……そんな訳がないんだけど、そうも思えてしまうタイミングだったんだ。

 両親が同居人としての姿勢を貫いたのには理由があって、いつでも別れられるように。との事。

 結婚してないんだから、いくら子供がいようが気分は恋人同士。だから嫌になればそのまま気軽に別れられるから……らしい。

 なんとも無責任な考えだと思うのだが、俺は両親が大喧嘩をしている場面を1度も見た事がない。

 流石気分は恋人同士。子供がいようがお構いなく、どこまでもラブラブカップルだった。

 それを両親も感じていたのだろう、ある時唐突に、予想に反して仲良くここまで来たから、その記念として結婚式をあげようと思う。なんて発表があったんだ。

 ジーサンバーサンになってからの晴れ姿だったのに、2人は酷く恥ずかしそうで、幸せそうで。そして調子に乗ってハネムーンに行ったビーチで2人仲良く行方不明になった。

 数日後海水含んで原型すら分からなくなった2人が出てきて、冠婚葬祭。

 姉2人は、この2人らしいって泣きながら笑い、兄は最後まで人騒がせだなと呆れてた。

 絶賛多感な時期である立場として言わせてもらうと、グレる切欠作りを有難う。とでも?

 ろくな反抗も、孝行もしてないうちに、唐突にいなくなられるのは正直辛い。

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