純粋〈人間〉培養
四葉美亜
一頁目/拝啓、いとしき君、あの日々を過ごしたわたしへ。
拝啓、いとしき君、あの日々を過ごしたわたしへ。
もし、私が、あのとき、xxxxを着ていたら、着られれば。
私は、苦しまずに済んだのだろうか?
いつか苦しむ私がいて、それがたまたま、いまだった、あのときだっただけのこと。もし、もし。
そんな仮定は無意味だ。過去は未来に成り得ない。
けれども、もし、あのとき、こうしていられれば。xxxxに、上品な、すこし丈の短い、纏まった制服を着られていれば。きっと未来は――今は、もっとちがっていたにちがいない。
(救い、もしくは願望。)
夏の朝日にあてられて、黒色は緑をうつしながら、残酷で柔らかな美しさのまま、佇む。
なにをやっているんだろうね、って、ひとけのない裏通り。
フェンスにもたれて、君を待つ。
一線、振り向けないから。
それでも私は、あなたの為に
どこでぼくらは間違えたんだろうな。
――ぼくらはたぶん、どこかで決定的に間違えたんじゃなくて、どこかから、少しずつ、ゆっくりと、間違い続けたんだと思う。だから、緩やかに間違い続けた結果が、きっとこれなんだろうな。
増幅した感傷より。だれかにあいされなくても、わたしはつづいてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます