純粋〈人間〉培養

四葉美亜

一頁目/拝啓、いとしき君、あの日々を過ごしたわたしへ。

拝啓、いとしき君、あの日々を過ごしたわたしへ。


もし、私が、あのとき、xxxxを着ていたら、着られれば。

私は、苦しまずに済んだのだろうか?


いつか苦しむ私がいて、それがたまたま、いまだった、あのときだっただけのこと。もし、もし。

そんな仮定は無意味だ。過去は未来に成り得ない。


けれども、もし、あのとき、こうしていられれば。xxxxに、上品な、すこし丈の短い、纏まった制服を着られていれば。きっと未来は――今は、もっとちがっていたにちがいない。

(救い、もしくは願望。)


夏の朝日にあてられて、黒色は緑をうつしながら、残酷で柔らかな美しさのまま、佇む。


なにをやっているんだろうね、って、ひとけのない裏通り。

フェンスにもたれて、君を待つ。


一線、振り向けないから。

それでも私は、あなたの為に



どこでぼくらは間違えたんだろうな。


――ぼくらはたぶん、どこかで決定的に間違えたんじゃなくて、どこかから、少しずつ、ゆっくりと、間違い続けたんだと思う。だから、緩やかに間違い続けた結果が、きっとこれなんだろうな。



増幅した感傷より。だれかにあいされなくても、わたしはつづいてしまう。

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