第33話 『架空請求』

架空請求のメールが届いた。


とある怪談サイトを見た代金で


今週中に20万円払え、という。


だが怖い話は大嫌いなので

そんなおぼえはまったくない。


届いたそのメールには

一枚の写真が添付されていて


泥まみれの

女の足が写っていた。



翌日も

またメールが届いた。


「あと6日だ」


という本文とともに、

今度は

傷だらけのヒザの写真がある。



その後も毎日

メールは届く。


「あと〇日だ」


という本文に

女の写真が添付されるのは同じなのだが


写し出されている内容は毎回、

女の体を

すこしずつ上にあがってきている。


やがて

血と泥にまみれた

ワンピースを着ているのだとわかった。



6日目にはついに

顔の下半分が見えた。


女は

歯をむき出しにして


狂ったように

ニタニタと笑っている。


恐怖心をあおるなんて

新しい詐欺を

考えるものだなー。


と感心していると、


7日目。


自分しかいない

深夜の部屋で


「こぉ~んばぁ~んわぁ~」


という


女の声が響いた。

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