第15話 『ホラ、ついてきたよ』

バイト仲間との飲み会が

いつのまにか

怪談で盛り上がった。


そういった話が

苦手なうえ、


「怖い話をすると

 霊が近づいてくる」


と聞いたことのある

N子さんは背筋が寒くなった。


その後

アパートに帰りベッドに入ると

すぐに頭から布団をかぶった。


だが

怖くて怖くて眠れない。


すると


ギ、ギギギ……。


と不意に

床がきしむ音がした。


だ、だれッ?


そう思って

布団から顔を半分出しようすをうかがうと、


いるッ!


台所にだれかいるッ!


やっぱりだッ!


やっぱり霊が

来てしまったんだッ!


飲み会で

怪談なんか聞いたせいだッ!


布団で顔をかくし

ガタガタと震えていると


お酒が入っていたせいか

いつのまにか眠ってしまっていた。


…翌日、

N子さんは

目を覚ましておどろいた。


室内が

荒らされているのだ。


まさか

霊のせい?


ポルターガイスト?


と思ったが、

ある瞬間、冷静になった。


「あの人

 幽霊じゃなく

 

 ただの

 ドロボウ

 だったんですよ」


N子さんは

うなだれる。


室内から


大事にしていた

ノートパソコンや

サイフが消えていたという。

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