第13話 『おまえたち』

罰ゲームを

受けることになったW君は、


町はずれにある

〈幽霊屋敷〉と呼ばれる

いわく付きの廃屋でひと晩すごすことになった。


外には仲間たちがいるものの、


やはりひとりでは心細い。


しかたなく

ビデオカメラを回し


室内のようすを録画する。


建物が古いせいか

あちこちで家鳴りがする。


緊張感が高まり、

呼吸が荒くなる。


「……も、もうイヤだ。

 外に出たい……」


そうは思うが


逃げ出して

仲間たちにバカにされたくもない。


そのとき、


ぎしぃ……。

ぎししぃ……。


と2階から

足音が聞こえた。


まさか、

だれかいるのか……?


仲間がイタズラでもしているのか……?


い、いや、

そんなはずはない。


上にあがる階段は

自分の背後にあるのだ。


聞き間違いだ。


家が古いせいだ。

 

そ、それしかないッ!


自分に

そう言い聞かせるのだが

2階の足音はいっこうに収まらない。


それどころか

足音は

ゆっくり階段を降りて来るではないか。


ダメだッ!

やっぱり、

だれかいるんだッ!


W君は

あわてて家の外に飛び出した。


仲間たちは

おびえたW君を見て

大笑いしたが


その瞬間、



「逃げるなよ

 

 わかっていて

 

 来たんだろ……?」


という声を


全員が聞いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る