第4話 脳報酬系

 釧路・仁・闇・光・美羽のメンツである。


「さて、今回は俺がしょう」


 仁が今回の雑談の口火を切ってやろうと挙手してくれる。

 月白は今日スーパーの特売日で上豚100g98円と安いから大量に買うために今日はごめんねということでお休みである。


「ほほう。仁君が話すんだ。楽しみ」

「釧路! お茶」

「へいへい、お前はどうせ玉露だろ」

「ああ」

「私ほうじ茶」

「美羽は自分で入れろ」

「えーついでだからいいじゃん」

「釧路くん、前茶。闇も一緒ね」

「はぁー。わかりました。美羽の分も淹れてやるから座ってろ


 いつも通りお茶と菓子を用意して舞台が整ったのを仁が確認すると話し出す。


「さて、話すのはなんと、脳の話だ」

「NOW?」

「今じゃない。ブレインの方だ」


 仁が咳払いして話を戻す。

「さて今回は脳の報酬系について話そうと思う」

「報酬系?」

「そう、光さん。闇さんは知ってますか?」

「うーん。ドーパミンとかあんな感じの神経系くらいしか」

「光に同じく」

「おおむねそれで大丈夫です。詳しくやりすぎると脱線の方が多くなるので」


 仁は再度咳払いをする。


「報酬系に関して今回は話そうと思う。ただあんまり詳しくすると医学を学んでいる人からの横槍が痛いので深くはせずに浅く、するのはご了承を」


 拍手でもしてほしいのかという間があったので全員が小さく拍手すると仁が「どうもどうも」と頭を軽く下げる。


「さて、ここにいる人で我こそはスマホ依存症なりと思える方は手を上げて」


 全員が手を挙げる。


「ふむふむ。では釧路はなんでやめれない」

「スマホってかゲームだけどな」

「ガチャガチャ系か?」

「ガチャガチャって、まぁ、そうだな」

「やめれそうか?」

「あーそう言われると厳しいかな。今までのことが無駄になるし、石くそ配るからガチャ引きまくれるし」

「ふむ。今までのことが無駄になるというのは行動経済学の方面だから今回は省略するが、ガチャを引いて強キャラが当たる。そしてまた石が配られ、強キャラ出てそして引くの無限ループだろ」

「まぁ」

「実はその当たった瞬間にドーパミン、快楽物質だな。が脳内でプッシャーする」

「プッシャーって」

「表現はあれだが、実際非常に厄介で特にFPSだとこれが顕著だな」

「試合に勝ったら?」

「そう。負けてもその試合中に何人かはキルしてるから負けても出るけどな」

「なんだそりゃ」

「問題なのは幸福物質がすぐに手に入る、という現状だな」

「なんかダメなのか?」

「そうだな。例えばニコチン、タバコだな。これも依存症でわかりやすいか。細かいことは抜きだが、タバコ吸ったと思ったらまたタバコ吸ってるってなんか聞いたことない?」

「Twit○erとかでタイムラインであったような気もする」

「というのもタバコの、つまりはニコチンを摂取しないと脳が通常のスペックで動いてくれないからだな」

「え?」

「あースマホの低電力モードがタバコ依存症の素のスペックで、タバコを吸ってニコチンが補給されると低電力モードが解除されてぬるぬる動くようになるだな」

「いやな例えだな」


 仁がお茶を催促してきたので淹れてやる。


「仁、それって対策とかあるのか?」

「基本的には触らない吸わないとかだが、ゲームとかだとあー勝った、このときにドーパミンが出ているのか、と意識するだけでやる気がゴリゴリ減るぞ」

「嫌な対策だ」

「そうは言うが、容易に快楽が得られる、短期的な快楽だな。これを得続けると癖になるんだ」

「癖になるか?」

「だって、釧路、スマホを3日間さわるなと言われたらできるか?」

「うぐ、無理だ」

「そういうことさ。このため、長期的に報酬を待つのが馬鹿らしくなってしまい、努力が長続きしなくなるんだ」

「眼の前に快楽を得られるものに頼りたくなるか」

「そそ。まぁ、目の前の利益を追うというのも行動経済学にあるから次の俺の番に詳しく話す。

 無意識のうちに、働いたし酒やタバコ等に走る人は特に注意しなくてはならない。それは依存症かもしれないってな」


「いつの間にか依存症の話に」

「そうだな、依存は脳の報酬系と深い関係があるからな仕方ないな」

「他には?」

「そうだなー。釧路、なんで発展途上国は人口が増加し、日本やアメリカのような国は人口が激減してるんだ?」

「え、それはまぁ、やることないならせ、せくろすしかないから」

「そうだな。このセックス自体もドーパミンが出るが、ふとおかしいとは思わないか?」

「何が?」

「脳には同様の物質が出るんだぜ?」

「そうだな」

「質は同じで量は違うが、それでも男女で仲良くなってなどの長い工程を経て得るか、スマホでダウンロードしたゲームで得るかとなったらどうする?」

「そりゃ、できれば両方」

「でも、異性に話しかけれない奴だっている。それなら結局ゲームに走るだろ」

「まぁ」

「ゲーム以外にも酒、薬、美味い飯だってドーパミンはでる。つまりは発展した国はそれだけ選択肢があるから、そんな面倒な付き合いするよりもすぐ様手に入る幸福を選ぶってなってもおかしくはないだろ?」

「そんな奴が大多数いるってわけか」

「そうだな。発展と衰退は表裏一体なのかもな」

「名言か?」

「さてな。まぁ、もう少し詳しく人口減少だと、育児や給料など制度や所得の問題もあるからな一概には言えないがな」

「うー」

「美羽ちゃんどうだった?」

「ちょっとスマホの触る時間を減らします」

「光さんは?」

「セックス依存症ってのもあるのもそれかなーって」

「そうですね。本人からすれば必要とされているとか温もりが、とかが多いですが、脳は快楽に浸っているのでなんとも言えませんが、闇さんは?」

「悪い依存?」

「あくまで私生活に悪影響が出てたりするというのが依存症ですが、長期的に見ればスマホだとストレートネックや猫背状態が続くことにより猫背自体が生活の基準となり高齢になって狭窄症になるかもしれませんね」

「他にあるか?」

「ご利用は計画的に」

「借りてる時点で不計画」


 綺麗な流れが決まって今日はお開きとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る