ノゾキアナの恐怖

仲仁へび(旧:離久)

01



 壁に開いた二、三センチほどの穴。

 ノゾキアナ。


 これが僕の世界を広げてくれる。


 ノゾキアナから今日も見る。

 大好きな隣人の彼女をずっとみる。


 片時も目を離さずに24時間ながめまわす。


 君のどんな事も知りたい。

 全てを知り尽くしたいから。


 どんな瞬間も、どんな表情も、


 ここから離れる?

 そんな事想像できないよ。


 だって、目を離したすきに君がいなくなっていたら、たぶん気が狂ってしまう。

 こんなにも好きなのに。

 こんなにも惚れているのに。


 この瞳が彼女以外を移すなんて耐えられない。


 だから今日も、明日も、明後日も、ノゾキアナを使って監視を続けていこう。


 あれ?

 でも。

 何だか変だ。


 ずっとずっと彼女を眺めまわしていた僕は気が付いた。

 とっくの昔におかしいと気が付くべきだった。


 ソファーに座ってくつろく、無防備な彼女をながめる。


 何で24時間以上経っても動かないんだろう。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ノゾキアナの恐怖 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ