第7話

 事故から3ヶ月。ギブスはほとんど取れ、院内では歩行器、それ以外では松葉杖を使って歩けるようになった。まだ身体が自分の思う通りには動かないけれど日々のリハビリで確実に戻ってきているのを感じる。何より自発的に動く事で前に進めるのは凄く嬉しい。自主練じゃないけれど歩いて歩いて他の人よりリハビリを進めようとしていると、祥子ねぇには

「瑠宇頑張るのは良いけど、頑張りすぎたらだめだよ。今はじっくり身体を治す時なんだから」

と止められたりもするけれど。でも早く戻りたい。戻って今度こそ自分の気持ちを伝えたい。

 そろそろ事故から4ヶ月になろうという日。最後のギプスを外し先生から言われた。

「うん、そろそろ自宅療養に切り替えようか。レントゲンの具合からすれば体重掛けて良いからね」

もう歩行器は使っていないし、今日からは片松葉杖。固まった関節が動くようになったら松葉杖も使わなくて良くなる。どんどん身体が戻っていくのが嬉しい。でもまた前みたいに走れるようになるかは分らないと言われた。普通に走る分にはおそらく大丈夫だと、でも競技としての負荷に耐えられるかどうかは分らないそうだ。それでも可能性はゼロではないとも言われた。

 その日から、ストレッチと筋トレを始めた。落ちた筋肉を出来るだけ早く戻す。1日も早く走り出すために。

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