魔王城から助け出された結果、勇者様から逃げられなくなりました
仲仁へび(旧:離久)
01 閉じ込められ続けて一か月
私、お姫様。
いま、勇者様の居城に閉じ込められています。
何が起こったかと思われる方が多いでしょう。
でも、事実です。
「姫、気分はいかがかな」
「姫、私と一緒にご飯をたべましょう」
「姫、私とお話してくださいませんか」
目の前には原因である勇者様のお顔。
整った美形ですけど、私はその顔を見て震えあがります。
だって、この人、何考えてるのか分からないんですもの。
一度は魔王に捕らえられていた私を助けてくれたんですけど。
その後、王様の所にも王宮にも帰してくれないし、自分のお城に閉じ込めてるし。
第二の魔王か、魔王の後継者か何かなんですか。
「あの、勇者様。勇者アルト様」
「何かな。クリスティーゼ姫」
私、クリスティーゼ・シュラインヴァース・アルケミシアが勇気を振り絞って問いかけを発すると、アルト様は小首をかしげて麗しい仕草。
本当に何を言いたいのか分からないという顔をしてますけど、私は騙されません。
私をこんな所に監禁するなんて、何か裏があるに違いないんですから。
「そろそろ、目的を話してくださっても良いのではありませんか。私をこんな所に閉じ込めている、本当の目的を」
「本当の目的? そんなもの、ありはしないよ。私はただ、姫と一緒に穏やかに過ごしたいだけだ」
私は「嘘です」と言いたいのをぐっとこらえました。
私にはたくさんの姉妹がいます。
私以外の姉妹は、誰も彼もが美しくて聡明です。
私などよりも、求婚するにふさわしい相手なら山ほどいるはずなのに。
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