05 かってしったるモンスター



 ダンジョンの出口を目指して進んで行くと、その道筋でたまにトラップが作動した。

 ダンジョンは人工的に作られた建物とは違って、一つの現象である。

 だから、一度作動した罠でも、時間を置いたらまた復活してしまうのだ。


 その道を通行したモンスターはたくさんいるが、リセットされるので、一定時間後にはまた気を付けなければならなくなる。


 このダンジョンの中でモンスター達が独自に文明を築いても、トラップが解除されているような所はなかった。


「と、いうことで。あははっ。この先を右に曲がった方が近道ですね、ははっ」


 案内をするスケ郎にびしばしトラップの矢が飛んでくるが、勝手知ったる道なのかそちらもみずに、矢を叩き落している。


 何が楽しいのかよく分からかったが愉快なようだ。


 こうして、飛んでくる系のトラップは全てスケルトンが無力化していた。


 そして、


「ぷぎっ! くぎゅ!」


 パカッと開くはずだった床の穴の部分をスラムが鳴いて知らせる。


 落として移動阻害系のトラップはスラムが全て探知していった。

 

 長年封印されていたとしても、仮にも魔王。

 トラップの一つや二つ道という事はないが、煩わしい思いをしないに越したことはない。


 スライムもスケルトンも下級モンスターにもかかわず、割と便利な連中だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る