　会話が通じる事に気がついた時は驚いた。

　スライムは低級モンスターで、そのクラスが示す通り単純な行動しかできない。

　思考能力もないはずだった。

　しかし、このスライムは掃除をしたり魔王を助けたりする高度な行動ができるようだった。

「このダンジョンの出口までの案内を頼む」

「ぷぎぃ！」

　スライムは何だかしゃきっとして上にのびた。

　おそらく「任せろ」的な返事だろう。

　会話を繰り返すうちに、応答パターンがみえてきた。

　こちらから投げかけた言葉に対して是であればしゃきっとなる。

　否であれば、でろっと横にのびる。

　理解できなければとげとげになったり、クエスチョンを作るらしい。

　通常なら言葉が通じないはずのスライムと会話をする状況は、魔王にとっては未知の領域だった。

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