02 スライムに世話されていたらしい



 スライムの横にあるのは、モップ。

 近くにおいてあるのはバケツ。


 他にも布巾やタオルなどがあった。


 周辺はぴかぴか。


 どうやらこのモンスターは、部屋の掃除をしている最中だったらしい。封印の間の手入れをしていたようだ。


 魔王は自分の体がかすかにしめっているのに気が付いた。


 とても丁寧に掃除されていた。

 何千年も動かなかったから、銅像かなにかと勘違いされていたようだった。


 普通なら、魔王をモップがけする無礼な低級モンスターを即座に消し炭にしているところだが、封印からめざめたばかりで力が戻っていなかった。


 ふらついた魔王が倒れ込むと、それを支えるようにスライムがやってきた。


 やわらかい体をいかしてクッションになるスライム。


 なんかひんやりしてて気持ちよかった。


 とても良いクッションに満足した魔王は気が変わっていた。


 そうなら封印されていた屈辱と比較すると、多少の事は寛容になれたらしい。


 受けた恩は返さなければならない。


「俺がここから出た暁には、お前に褒美をやろう」


 スライムは、「ぷぎぃ?」と鳴きながら。疑問を示す様にクエスチョンのような形状になった。



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