04 聖女の心境



 私はこの世界の聖女。

 希望の象徴です。


 そんな私には果たさなければならない責務があります。

 だから、助けを求める人たちを全てを守る事はできません。


 私には魔王打倒の為の特別な力があります。

 邪な魔力を持った魔族の者達を浄化するための力です。

 だから、どれだけの兵士が倒れようとも、私一人だけは魔王の元へたどり着かなければならないのです。


 そのために私は、戦場で次々と倒れていく兵士達を見捨てました。


 でも、本当はこんな事したくないんです。

 できる事なら全員を助けたかった。


 だけどこの世界は甘い理想を叶えてくれる世界ではないから。


 私はいつしか分厚い氷で心を隠す様になりました。


「聖女様、第五部隊が生き残っています!」


 それなのに、あの方は強烈な力とその優しい心で、助けて下さったのです。


 そして「もう誰も死ななくていいんだ」とそう言って下さいました。


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