03 救世軍の心境



 我々は、魔王討伐のために組織された救世軍である。

 しかし、こちらの旗色は芳しくない。


 先日も、期待の星であった第七部隊が魔王軍に壊滅させられたばかりだった。


 この第五部隊が壊滅するのも時間の問題だろう。

 すでに四方を敵に囲まれている。

 退路は断たれ、食料は尽きた。

 けが人も多い。


 我らに待っているのは、破滅のみであった。


 しかし、そんな我々に手を差し伸べてくれたのが、あの方であった。

 あの方はかつて王宮に見捨てられた、英雄候補の一人だった。


 苦労して異世界から呼び寄せたのに、才能のないただの子供だったから。ほどなくして見捨てられたはずだったのだ。


 それなのに、我々を助けてくれた。


 危険に飛び込んで、我らの身を案じてくださったのだ。

 なんと素晴らしい方なのか。


 我々は誓った。

 もうあの方を裏切らない事を。


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