アイラ、君は。

風島ゆう

第1話 プロローグ


 ねぇ、知ってる? 国語の山内。この間アイラに睨まれてビビってたらしいよ。あいつ陰キャで、指導が一々嫌味だからさ、ざまぁみろって感じ。あの美人に睨まれたらそりゃ怖いよねー。それからめっきり元気なくなったみたいよ、山内。


 聞いた? この間の平均点低かった数学のテスト。委員長満点取ってただろ。化け物か! って思ってちょっと引いたけど、なんでもアイラと同じくらい勉強したって話でさ。秀才は努力がちげーわ。アイラと同じって言われちゃかなわねえよ。


 アイラ? そうだよ。すごいよ。美人だし、文武両道だし。先生なんかに怯まないしね。


 背の高さは、えーと百六十センチくらい? 華奢だから小さく見えるけど、確かみーこよりちょっと高いよね。黒髪ロングのサラサラヘアでー。目が光の加減で時々ちょこっと赤く見えるの。神秘的。


 そりゃ、男子はみんな憧れるよ。けど高嶺の花すぎるだろ。それにそういうんじゃねーんだよな、アイラは。女とか男とか、そういうことをもっと超えた存在っつーか。なんていうの、カリスマ?


 当たり前だよ。この学校でアイラを知らない奴なんかいないよ。生徒も、教師も、親もみんなアイラを知ってる。一目置いてるんだ。だってアイラは特別だから。


 え? アイラがどこのクラスかって? 

 ……お前、何言ってるの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る