第十八話 早山ルーイズサイド:現神術の訓練1

「では、ホームルーム始めるぞー」

担任のシーラ先生がやってきた。


さっきは恥ずかしかったなぁ...<天才なる黒勇少年>という称号が付着されるような流れって… 。

お叱りを受けてから復活した明るい感じに戻ったネフィールにもからかわれるわ、梨奈にまで突き放されたわで、マジでついてないやーー。

まあ、別に悪い意味でそう呼ばれた訳じゃないし、むしろ尊敬される面で見てくれてるってなんか嬉しいけど、やっぱりそういうのを堂々と呼ばれてると恥ずかしいよ……。


でも、仕方ないよね?だって、ネフィールや梨奈を除いたら、この教室にいるクラスメイト全員は悪まで俺を<奇跡の子>の一人であると認識していて、まさか<神の聖騎士>であるとは思うまい。なので、入学してきたばかりの俺がこんなに一週間にも満たない超短期間で色んな大成果を成してたら、そりゃ天才とか思われたりもするわー!

実際はそうでもなく、<神の聖騎士>という異世界召喚の際につくチート補正がかかってるから、俺だけじゃなくて仲間3人にもこんなに恐ろしい成長速度があるわけで… 。なので、別に俺が元々、天才だとか、この世界で見たこともない肌の色が理由で特別に神使力の急上昇に影響を及ぼすとかないんだ。でもしょうがないね。だって、事実をクラスメイト達に話してはならないと女王からもエレンにも釘を刺されたし、何より、これ以上騒がれたり、崇められたりしたら、さすがに毎日の学園生活がきつくなるに違いない。なので、それに比べたら、天才とかなんとかっていう称号で呼ばれたぐらい我慢しないと、だな。


「では、今日の最初の伝達事項としては、<聖戦舞際>についてだ。昨日も伝えた通りに、このクラスのネフィールは早山と森川の二名と共に第4学女鬼殺隊に再編成されていて、エレン姫殿下が前にお率いになっていらっしゃった<エレン王族直属部隊>はそれで解散となられて、新しく設立された第4の隊長の座に任命されたそこの早山隊長の下にお使えになられるという事はもう既に知っているようだな、諸君?」


「はいですー!シーラ先生~~。まさか、お姫様でもある我がエレン様が早山くん、えっと……早山隊長、の下につくとか最初はびっくりしたよと思ってたけど、史上初の男性のヴァルキューロアであると同時に、入学してきたばかりなのに<ナムバーズ>9位であるフェルリーナさんの必殺技を打ち破った後、倒したんですから、きっと将来に向けて大きな期待されているんですよね、早山隊長?」

ミリーがスカサズそう反応した。


「昨日は先生にそう知らされた時、新参者なのにあんな重責を負わされることになる早山くんになんか心配してたけど、昨日の深夜で女王陛下のご発表により、神滅鬼の大群がを撃退できた早山くんが率いる第4の成果を聞いた時、なんか嬉しかったよ!」

今度はそんな面映くなるようなことを言ってくれるジェーシカーがいるのだった。


「そうですよね~~。あたし達のクラスメイトで初の男子学生が王国一のお姫様もいる部隊であの怪物どもをギッタンギッタンにしてましたから、誇らしい気分にでもなるんですよねー!?」

「新学年になって早々に早山くんが入学してきて、色んな出来事が起こりすぎてついていけないけれど、こういうハプニング満載の学園生活って始めてだから、なんか楽しくていいよね~~~~。」

今度はノルマの発言にそう返事した他の女子がいるけど、なんか能天気な発想すぎて心配したくなるな。だって、世界の命運を決める最後の戦い、<終わりの饗宴>っていうのがこの先に控えてんだろう? 


「ええ、そうね。昨夜、公園の大クリスタルにて女王陛下のご発表から伺いました通りに、第4を率いる我がクラスの早山ルーイズ隊長は無事に部隊内に所属している部下の隊員と力を合わせて、その大群を敗走させたそうだ。なので、彼と部隊にいる面々の実力はもう証明済みのようなものだ。でも、前にも言った通りに、カン・ウエイが復活する<終わりの日>も神滅鬼の再登場のあった1198神援暦....つまり、2年前の事件を機に、日に日に近づいてくるので、上階級にランキングされている神滅鬼と戦うことにいち早く万全な体制を整うべきだ。確かに、我が王国だけでも、数多くの有能なヴァルキューロアがいる。 この学園だけでも、別クラスの担任先生をやっている<恐暴の魔女>レギナ先生がいるだけじゃなくて、他所の2カ国から強力な神使力量を持っている二人の王女様もいるのだから、その際になってもどうにか対抗できるようになるだろう。」

ふむ。物事を正確に分析するのってマジで得意のようだな、シーラ先生って。斜め前の席にいる梨奈を見てみると、彼女も真剣な表情で先生の話を聞き入ってるようだ。


「でも、戦局変化と予測不可能な事象は常に起こるものだ。だから、一刻も早く、歴史上初となる男性のヴァルキューロアである<奇跡の子>二人と彼らに近しい間柄にある新入生二人、森川梨奈や有栖川姫子にも将来、有能な戦力となってもらう必要がある。それも現在のとは比較できないような力を身につけてほしいのだ。」

要するに、今より何倍も強くなってもらうために俺たちをスパルタ式な厳しい訓練をさせようって魂胆だな....。ようやく、話の根幹となる部分が見えてきた。


「だから、実戦に慣れてもらう一環として、実際に神滅鬼の討伐任務に参加してもらうだけじゃなくて、ヴァルキューロア同士で試合をするのも有効な訓練方法なのだ。

よって、早山ルーイズ率いる第4学女鬼殺隊は春介遼二が率いることになる第5学女鬼殺隊とチーム戦で試合してもらうのだ。<聖戦舞際>形式で行われて、場所は前の<聖メレディーツ・コロシアム>で開催されて、開催日は2週間後の金曜日の放課後だ。つまり、1200神援暦1月の31日だ。」

ふむ。確か、俺たちが入学した最初の登校日って、この世界でいう1月の13日だったな。一週間は地球と同じく七日間で構成されたものだから、31日で合ってる。今日は木曜日で16日だから、遼二のチームと戦うのって14日間しか残ってないね。あいつ.....その日になるまでに元気にしてくれるとありがたいなぁ...。有栖川さんも。


「じゃ、次の授業はワタシが受け持っている<現神術学>なので、一階に降りて体育室へ移動するぞ、みんな。」

どうやら、次は現神術の訓練のようだな。見回してみれば、梨奈もネフィールもやる気満々といった感じで、俺に微笑んだり、にしって笑いかけてきたりするようだ。相変わらず元気いっぱいで、何よりだな....。こんな二人の可愛くても健気で優秀な美少女が俺の大事な仲間として側についているんだから、彼女に見習って気を引き締めて訓練しにいかないとね。


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