第十一話 早山ルーイズサイド:温泉

鬼在察知機器(ゲテーバックス)。それはゼンダル王国だけじゃなくて、グロスカートの大半の国に設置された、神滅鬼のいるところと動きを察知し、追跡する機器だ。古代な人間族の先祖様が作ったと言われている画像猫板(サダ)と同じ原理だけど、違い点があるとすれば、四角型の板の形ではなく、三角の形をしているのである。そして、拡張機能もあるため、正確な地点に絞り込めることだ。


各国に設置された鬼在察知機器(ゲテーバックス)の数は国によって、違ってくる。国の面積の大きさに比例して、機器の数も増えるからである。何故なら、察知と追跡範囲は半径150キロメートルなのだから。なので、間隔的に設置されれば、すべての国土にある都市をカバーし、神滅鬼が接近してくるということを早い段階で見つけられるから。しかし、たまには神滅鬼が町の近くの地下から這い上がってくる場合もあり、その時は事前警告に使われる時間があまりにも短くて突飛すぎるため、迎撃する際は各都市に駐屯している各国のヴァルキューロア分隊に任せる。


もし対処しきれない場合、この大陸の国々に建てられた三つの女学園から、学女鬼殺隊に救援として派遣してもらうことも可能だ。まあ、間に合えば、の話なんだけど.........。で、<ゾウレーツ>という都市に襲い掛かった怪物の大群を早山ルーイズ率いる第4学女鬼殺隊が無事に撃退することができたのが彼らにとって、喜ばしいことでもあり、神滅鬼との初陣として大戦果を上げる<神の聖騎士>二人である早山と森川は部隊の大成功として、その都市に一夜で泊まって、翌日はそこの地下基地に設置された瞬間移動用の柱を通して、聖メレディーツ女学園へと登校することをエレン姫が喜んで提案した。それについて、早山、森川とセッラスも同意を示した。なぜなら............。


<ゾウレーツ>の1画にある、温泉の露天風呂にて:


「うひゃああーー!やっぱ気持ちいいなぁ、温泉っていうのをーー!」

この暖かい湯気と温水に包まれた俺の身体は疲れが取れたかのように、心地よくその露天風呂の縁に寄り添って、両肘を後ろに置いて寛いでいるところ。

「はあぁ...........癒されるな、これ。日本に住んでいた一人の国民だったんだから、こういうのはめっちゃ好きー!」

そう。ゾウレーツは温泉が湧き出る町で、その恩恵を受けるのはここの住民なのである。まさか異世界に行っても温泉に入れるだなんて、俺達ってラッキだなー!

この風呂に入って5分も経ったけど、何度も同じことを言って上機嫌になってんな、俺。まあ、仕方ないよねーー?だって、日本では温泉とお風呂に入るのは文化的な嗜みなのだから。だって、我々の習慣だからな。どこかの国に幼い頃から育ったら、その文化に馴染んで、第一に思うのである。人種とか肌色とか遺伝子の違いではなく、大事なのはどこかに育って、どの文化圏で成長していくかが大事だとも思う。そして、どれほど社会に貢献できるかも大事だと思うよね。ここのゼンダル王国のエレン姫も生真面目な王族として責任感が強いのだから、彼女にも見習わないとね。何より、おっぱいも大きいし.......。


「それにしても、避難させた住民を明日、ここへ連れ戻す任務をその避難所の隣町である<バックス>の第14分隊と第15分隊に任せて大丈夫かな.........。」

万が一に神滅鬼がまた現れて、経路中にあるその大勢の馬車の行列が襲われたりしたら、守りきれるのだろうか.........。増援がくるまでに犠牲が出なきゃいいけど。

「まあ、そんなこと考えても仕方ないか......。」

そう。今の俺と第4のみんなにできることはただ、国の最高指導者であるネネサ女王の命令がくるまで待機するのみ。そして、現神術の習得に集中し、他の学科の勉強も頑張って、一学生として過ごしていくことだけだ。

 

「それでね、あたしもそれが好きなのよね、そのほかほか食感は.......。」

「にしし.....そうだよね、森川さん~? 赤柔甘茸シチューって本当に美味しいよね~~?わたしも何度か食べたことあるけど、その時の至福感といえば........~~もう最高っだよねーーーえっと、ですよね、エレン様ー!」

「ですから、ため口でいいですわよー?わたくしと貴女の仲ですのよ?何度も言ってきたのに、そんな簡単なこともできないんですのーー?」

「でも、エレン様はわたしの元上司だけじゃなくて、この国の第一王女で未来の指導者でもあるんですから、一対一の場でも限り、失礼のないように振舞わなきゃ、です。それに、今のわたしの立場的には早山隊長の部下であるとはいえ、全体的でいえば、わたしもエレン様の一人の臣下としてこの国に仕えてきましたし、どうかお許しになってもらえないですか?」

「もう.......頑固ですわね、セラッスは.......。」


ん?急に女子数人の話し声が聞こえてきたけど、あれって、まさかーー!??

ってか、今は男性の入浴時間じゃんかーー!?確かに、あそこにある時計塔を見れば、今は午後22:00時で、女性の入浴時間は21:45までのはずーー!どうして入ってくるの、梨奈達!?

「っていうか、これってまたものピンチかよーー??あのフェルリーナと同じ類の.....。」

「お邪魔します......ってー?えーー?ルー......くん?」

「あら?どうしたの、森川.....え?ルーイズ.........隊長....?」

「........あははは........もしかして、わたし達と一緒にお湯の浸かりたいの、そこのエッチなボイーはーー?」


「~~~~~~~~!!!!??~~~~~~~~~」

そう。今の状況を掻い摘んでいうと、簡単なのである。

あそこのドアを開けてこの露天風呂に出てくるのは梨奈、エレンやネフィールで、ここの広い湯船の縁に沿って、お湯に浸かっているのは俺。

3人はみんなとっても綺麗でスタイル抜群の身体つきを持っていて、その悩ましい&艶かしい真っ白い女体とご対面になっているこの場にいる唯一な男性はこの真っ黒い身体をしている俺のみ。

それにしても、一番の巨乳を持ってるのはお姫様のようだね。金髪ロングで、横髪ドリル型に加えて、おっぱいも大きすぎるから、思わず見蕩れちゃいそうだ。

二番目のおっぱいサイズを誇るのは相変わらず我が幼馴染である赤髪ツインテール梨奈で、3番目は緑色髪のネフィールである。


で、その3人は一糸もまとわぬ真っ裸で、その透き通るような色白な肌を惜しげもなく俺の目に晒している最中である。

俺、終わったのかこれーー!? またも女難の相かよ~~~!??

「ルーくん、これってどういうことなのかしら........?」

顔が真っ赤になって胸を両手で隠しながら睨んでくる梨奈に対して、精一杯の弁解を始めようとした俺だけど、その時に、

「でね、私もそれが不思議でならないわ、ね~~?」

「そうね、あたしもそう思うんだよね、ユラ。」

3人の突っ立っているドアの近くに、後ろから......つまり、ドアの向こう側に二人の女性らしき話し声が聞こえてきた!

「「「ーー!!!ーー」」」

何かを悟った3人の我が美しい女体をお持ちになっている我が隊員はあろうことか、俺の方に向かって走ってくるぞ!ええええーー!!?その格好でーーーー!!??


5分後:

「まさかエレン姫殿下がここのお風呂にご入浴していらっしゃるとは思っておりませんわよね、ミリ?」

「そうですね。それに、あたし達の町を救って下さった同じ部隊のご仲間もいらっしゃるようで、VIP場に同席してなんか嬉しいですね。あはは......。さっきは誠にありがとうございました、エレン様!エレン様のお陰で、あたし達の故郷であるここはその怪物に破壊されなくて済みますし、本当に助かりましたよー! 」

「あははは............それほどでもありませんわーーひゃんー!」

「「-!?-」」

そう。今の俺はエレン、梨奈、ネフィールの三人に囲まれて、湯船の中心にいる。

3人はそれぞれの正面方向に身体を向けて、全員は俺に後ろ姿を見せる形となっている三角 形の陣形という。

どれの背中も魅惑的すぎて、見るたびに心臓が一瞬とまっちゃうような感覚になる。

それに対して、俺は水中に潜って、息を止めてなるべく泡が水面に浮上しないよう努める。

もちろん、包囲状態にあるために、多少は身体と身体の接触もあって、得もいわれぬ気持ちよさが俺の全身に包んできて離さない。どれの匂いと体温も心地よすぎて、思わず近づいて身体同士を接触してしまった。さっきも、エレンの背中に不用意に頭を擦り寄っちゃったから、あんな声を上げさせてしまったんだ!すまんな、エレン!わざとじゃないんだー!くらくらしすぎて、じっとしてられなかっただけ!


この密着状態で裸の姿をしている同年代の女子にこんなスキンシップされるのは初めての経験すぎて、なんか気持ちいいやら苦しいやらでくらくらしちゃいそうーー。

それに、頭とあそこも熱くなってきちゃったし、どう我慢しろっていうのーー!!?

「どうしたんですか、エレン姫殿下?」

「いい....いいえ、なんでもありませんわ。ただ、その.......いきなり擽ったくなっただけ......ですわ。」

(痛いーー!)

そう。さっきのミスを犯してしまったから、梨奈に後ろ手で腕を抓られた!

というか、後ろも見ずにどうやって正確にこの箇所を狙えるのーー?器用しすぎやしないか、お前ー!?

「そうーー?まあ、殿下がそうおっしゃるならいいけど、何かご問題がありましたら、私達に仰って下さいね?力になれるかどうか分かっておりませんけど、臣下の一人として殿下にお頼りになられると嬉しいですっ!」

「ーそ、その心遣い、ありがたいですわ。」

親切だな、その二人の女性は。まあ、建前上そうなっただけかもしれないけど、彼女達は一応この町の住民で、襲撃の際でも逃げずに地下基地に過ごしたから、町を救ってみせた俺達に感謝の気持ちでいっぱいなのは当然だよねー。そうじゃなかったら、おかしいし。

「........あの.......もしお差し支えでなければ、何故その......お仲間二人とそんな三角形の体勢になっておられるか.....お伺いしてもいい......でしょう.....か..?」

無難にやり過ごせたエレンだけど、今度はあっちの20代らしき女性....声からしたら、ミリっていうんだっけ?がこんなこと聞いてきやがった!


「そ、それは......。」

答えずにいるエレンを見かねるかのように、梨奈が助け舟を出す、

「ああ!それかーー!?まあ、あたし達は.....その....ほらー!女性としての仲間タイムで親睦を深めるための.....儀式?っていうやつーー?そう、まさにそうなのよーー!だから、エレン....えっと、エレン姫様.....こういう体勢になってるんのよーーこほん!なってますよねー?」

ナイス、梨奈!困ってるエレンを助けるとは、いい気転だな!

「え、.....ええーー!そうですわよね、おほほほほーー!!!その通りですのよ、森川梨奈さんーー!貴女もこの儀式が好きで参加してますわよね、セラッスー?」

「まあねー。で、そういう訳だから、わたし達がこんなになってるんだよ。にし。」

「成る程!儀式ですよね、なんかいいね、そういうのって。」

「うん、うん、あたしもそう思いますね。エレン様とお仲間達のご絆、素敵ですーー!!」


その後、会話が15分も続いたけど、なんかのぼせちゃいそうで、辛いよーー!ううぅぅぅぅぅ.........もし体内に神使力が流れていなければ、とっくにばてていたはずだ!でも、向こうの3人も俺を隠すのにひやひやしたあまり、何回かその柔らかい女体を偶発的にすりすりしてきたし、我慢できなかった俺はこのお湯に漏らしてはならないものを漏らしてしまった。だって、仕方ないじゃんー!3人の魅力的な美少女に密着でもされてしまったら、ああなっちゃうのは当然だろう。すみません、温泉の経営者達.........2度とこんなことはしないよう今後は気をつけます、はい。


25分後:

「で、なんであんたがこの時間帯に入浴してるのか、説明してもらうわよー?」

で、今は全員が私服に着替えて、町に滞在中の間、今夜で泊まってる豪華で高級なホテルの一室にて、正座させられた俺を3人が立ちながら向き合う。

どうやら、今夜はまたも大変なことになりそうだ、あははは.........。さっきの3人の艶かしい女体と真っ白い裸を見てしまったので、マジで刺激的すぎて脳内に焼きついて離れないよーー。確かにさっきは興奮を抑えられずに暴発しちまって開放できたけど、今夜は眠れなくなりそうだなぁ.......。

それにしても、怒ってる梨奈も可愛いけど、今のエレンってなんか視線を逸らしたり、顔色を赤くしてるけど、まさかさっきで触れてしまったことを思い出したのか?悪かったよ、エレン!わざとじゃないんだー!

その二人とは対照的に、なんか明るい表情を浮かべるネフィールがいるけど、なんでー?それに、ニヤニヤしてるしー!


「にしー!まあ、まあ、森川さんー!それくらいにしてもらえないかなー?早山隊長も困ってる顔してるし、事故で男性の入浴時外に入ってしまっただけのようで、別にわざと女性入浴時に入った訳じゃないよねー?ね、早山ー隊長~~?」

おう!ウインクしてきたよ、ネフィールのやつ!可愛い!

「それがそうだとしても、けじめはちゃんとつけてもらわなくちゃー!それに、あたし達の裸も見てしまったし、そんな野獣....いいえ、淫獣みたいな目線で見られて気持ち悪くなったから相応の罰を受けてもらわないと筋が通らないわー!」

おい、おい。梨奈よ。お前はそういうけど、子供の頃、確かに9歳までなんだっけー? 一緒のお風呂に入った仲でもある俺達にそんなこというのひどくねー?傷つくぜーー俺!しくしく........。


「あの.......実は、わたくしもネフィールの意見に......賛成....ですわ。間違って入浴してしまったんですし、すぎたことに一々、腹を立たせては身が持ちませんわよー?」

俺の弁護に回ってくれたエレン!ナイスアシスト!マジで助かるわーー!

「でも......エレン.....。あんたはルーくんを最近お知り合いになったばかりだし知らないけど、こいつが間違いを起こして反省でもさせてやらないと、後々調子に乗りそうなのよーー?」


と、言い合ってるエレンと梨奈に、いきなりネフィールが会話に割ってはいる!

「あっちゃーー。軽いいたずらのつもりでやったけど、まさか早山隊長の昔なじみのガールフレンドがこんなにご立腹になるとは予想してなかったよ~~~。失敗失敗ーーー。」

「「「--!??--」」」

あれーー!!!??さっきのあれ、お前がそう仕向けたってのかよーーー!!?

ネフィールの自白に対して、俺、梨奈とエレンはびっくりした顔でその小悪魔的な少女を凝視したまま何秒か反応できずにいるのであった。またやりやがったな、お前!このーー! いたずら好き少女がーーーーーー!!!!

「にしし.....ごめんね、隊長!悪気がなかったよーーん。ただ、隊長とお二人の面白い反応が見たかっただけだよーー。にしっ。」


「「「にしって笑うなーーー(笑いませんのーー)!!!」」」

ハモって一斉になってそうネフィールに叫んでつっこんだ俺達3人だった。


でも、こういうのなんか嫌いじゃない、仲間と騒がしく和気藹々してるのって。

こんなに恵まれてる環境にある俺だから、絶対にこの世界は救ってみせるー!


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