第九話 早山ルーイズサイド:神滅鬼の襲撃5

「おい、おい、おい、マジかよ、あれー!?」

そう。こっちへ向かってくる他の神滅鬼は何十体もいるのに、そんな砲撃を打ってくるとか、仲間もろとも俺たちを跡形もなく打ち消したいのかよーー??

「グラオオオオオーーー!!!」

「ルーくんー!!」

梨奈の呼びかけによって物思いから覚まされた。そう、俺に襲い掛かってきた猿の姿をしているアングラン級......<セミノ>というんだよねー? 確かに授業で習ったんだっけ?が13体までいるので、素早い動きで以って、<アサネ>の長所である長いリーチと間合いにて、この大鎌を猛然と振り回して、向かってきた全ての<セミノ>を10秒も満たない間に切り刻んで屠ってやった。


「ふうー!さっきの<レガース>はどうなったー!?」

「ルーくん..隊長!あれを見てーー!」

「!?」

そう。梨奈の指差した方向へ首を振り向けば、あの<レガース>が放とうとしている4門からの砲撃の軌道上に、ネフィールが空中に浮いて阻んでいるような位置にある。というか、ネフィールって<ロアンヌ>が使えるの?


ネフィールの視点:

「にしー!さっきは何体かの飛行型なソリグ級である<エゴツ>に邪魔されて手足が捕まった状態で動けなかったけど、腹いせに神使力を高めて絡んできた粘膜性の強い伸張された舌にあれを浴びせたり、何発かの<紅玉灼熱融解(エンゲラーム)>を当てれば、開放されたよーー!」

ああもうー!さっきは本当に鬱陶しかったねー!あの中型な蝙蝠の姿をしている<エゴツ>ってー!もしそれらが早山隊長に向かっていったら、やばかったかもと思ったから先にそいつらを討伐しちゃうとしたけれど、わたしとしたことが手間取ってしまったんだ!わたしはこの飛行系の現神術、<ロアンヌ>がエリーゼやユリンほどに得意じゃないから、これを発動できるのはこの後、2分か3分しかないので、早くあの蜘蛛を倒さなくちゃーー!


「じゃ、打ってみたいんでしょーー!?そこの青い色の見苦しい蜘蛛よ!」

「ヌウウウ.......」

わたしの挑発に乗ったのか、その<レガース>の頭部にある6個の真っ黒い目玉を回転しながら赤い色に輝かせてるんだけど、その動作って確かに<六出目線放射熱(ダイギト)>を放とうとするんだっけ?ならー!

「はああーーーーー!!!」

わたしの現神戦武装、<ジェシー・クレファス・>の一本の短刀を<レガース>の六個の目がぎっしり詰まっている頭部に向かって投擲した。

カチカチカチカチシシーーーーーー!

鎖があちらへと猛烈な速度で伸ばされたと同時にそんな金属製な音が聞こえてくる。

グチャー!


「グヲオオイアアーーー!!!」

わたしの投げ出したその一本の刃はそれの顔面に強い衝突力で命中して緑色な血を飛び散らされながらぐちゃっという音と共に全ての目が潰された。わたしの武器には自分の放つ<ナムバーズ7位>の神使力が纏われてるので、当たったらそれが階級の高くない神滅鬼の持つ反神力を相殺し、爆発的な破壊力で以って殻を貫通し、直撃した辺りと貫いた内部をその影響で破壊し尽くした。


まあ、その<レガース>の核を破壊しない限り、たとえば首を刎ねたり、頭部を消滅させてもまた生えてくるんだっけー? まあ、今のところはその目から攻撃されるのを防ぐために潰してやったんだけど。その巨体を持つからじゃ簡単には避けられないよねーー?にしし....。まあ、<六出目線放射熱(ダイギト)>が発射される前に潰せたのが大きい成果だねーー。だって、後ろには早山隊長達もいるんだもん。

「!?」

シンー!シンー!シンー!シンー!

いけないー!あの塔にある四つの砲門が赤く光ってるよー!砲口には赤黒い禍々しい光が見えて、どうやら放射準備はもう整っているようだ。

「ちぇーーー!!」

カチカチカチカチシシーーーーーー!

鎖を雷のごとくスピードで引いて慌てて短刀を手元に戻したけど、もう遅かった!


ゴオオオオオオオオーーーーーーーーツ!!!!!!

四つの砲門から四つの<極紅雷閃(アスダファール)>がこちらに向かって放出された!黒い色の光線に見えるけど、あれが着弾したら、ぱちぱちと雷を辺りに撒き散らしながら紅色の大爆発を起こすから極紅雷閃と呼ばれてる所以なのだ。

ゾオオオオーーー!

わたしの後ろには早山隊長がいるのだし、ここから引く訳にはいかないよ!

なら、手っ取り早くそれを迎撃するのに一つの道しかない。

一瞬にして身体中から神使力を両方の短刀に集積していく。


「現神術、<ケルドアーン>!」

短刀限定の現神術、ケルドアーンを発動したわたしは手に持つ両方の刃をXマークのように同時に投げ出して、開放した両刀から両手を鎖に持ち替えた。

投擲したその両刀は眩しい神使力の本流を纏わせながら、2頭の青い色で光っている竜の頭の形をその二つの刃の部分で形作った。今、中心部分の鎖を握ってるわたしだけど、その二つの眩しい竜頭を纏わせた2刀は自らが自立した生き物であるかのように、自由に動き回って向かってくるその4発の<極紅雷閃(アスダファール)>を容易く打ち消した。


そう。<ケルドアーン>という現神術は短刀の形をしている<現神戦武装>を持つ者だけが使用可能で、効果は見ての通り、投擲した短刀が青い色に輝く竜の頭の形を纏って、自立した動きにて向かってくるすべての敵と攻撃をどこまでも絶対に追いかけ、どっちかが先に破壊される前に絶対に消えることのない、高度な現神術なのである。


「グロオオオオーー!」

自分の放った4発の<極紅雷閃(アスダファール)>が打ち消されたのを見て憤慨したのか、自動回復した頭分から牙のぎっしり詰まってる口を開けてそんな咆哮を上げた<レガース>の一体。


「ギュアアアアーーーーー!!!」

「!?」

なんか別のところから耳障りな激しい断末魔みたいな叫びが聞こえた!

遥か右前方の方に振り向けば、どうやらエレン様はもう一体の<レガース>を討伐したらしくて、その巨大な蜘蛛の形をしている神滅鬼は何十切れまでの肉塊となって、胴体から生えて天高く突き上がった四つの砲門が備え付けれられた赤い塔も何切れまで細長く切り落とされて、崩れていった。たぶん、核の部分も消滅させたか、もう回復する兆しを見せない。

「わああお..........。相変わらず、デタラメすぎるね、うちの姫殿下様の剣筋は......。


そう。宮廷のヴァルキューロアの精鋭部隊に所属しているニシェーを一年生だった時からのお弟子になってから、エレン様の剣術と神使力量は恐ろしいほどの成長を見せて、現在は学園の<ナムバーズ>3位までのし上がってきたのだから、お姫様も努力をお怠ったりになられてないんだね~~。一年前のエレン様は代々継承された女王継承権を持つ第一王女様の中からでも歴代最弱とまで呼ばれて、神使力量は王女の中からでは最小までと陰口を言われていた時期もあったけど、今はその昔のことなんて嘘であるかのように、お強くなられたよね、エレン様ーー!

「.......すご過ぎる.......。」

エレン様の成し遂げた大戦果を前に、感嘆としたため息まじりな呟きを漏らしたけど、って、いけないーー!!まだ前の一体がいるんだって忘れてしまったよーー!!


さっきの4発の<極紅雷閃(アスダファール)>を打ち消したから安心したか、あるいはエレン様の成果を見せられて意識が目の前の敵から逸らされたので忘れかけていたけど、さすがにあんな巨体を持つものが前方にいたら、直ぐには気づくよ。

「はあああーーーーー!!」

またも次の砲撃が打ち出されないように、<ケルドアーン>の効果がまだ残っているこっちまで伸ばされた鎖で繋がっている、空中で浮いたその竜頭を纏う両刀を操作して、あの<レガース>に攻撃を加えるために猛スピードで奔らせた!


「グヲオオオオオオーーーーー!!!!」

激痛を訴えるかのような咆哮と共に、その光り輝く竜頭が口を開けて、牙のいっぱい詰まってる口内に飲み込まれる形で、激しく噛付かれたり、噛み千切られている様子だ。

そう。<ケルドアーン>は敵の放った攻撃とその張本人を滅ぼさばい限り、持続継続して発動中のままだ。

「グロオオオオ........」

全身が噛み潰され、咀嚼されながら、大きく開けられた口の喉奥へと導かれている様は凄惨すぎて、わたしでも見るの躊躇いちゃいたくなるほど、かなり生々しい捕食の風景に見える。


ゴドオオオーーーーーン!!!

巨体とその胴体にあった塔が地面に伏して崩れ落ちると共に、残りの身体全部がその2頭の竜の喉へと収まったいき、綺麗さっぱりこの世からその姿を滅された。

「うわああ.........なんども見てもグロイんだね、こういうのって......」

この技を使うのは主に、神滅鬼6番目以上の階級が出てくる場合のみなんだけど、未だに慣れないね、あんなえぐい捕食される光景は..........。それに、現神術は使用者の神使力量がどれほどのものかによって、その威力が左右されるので、もしかしたら、あのローズバーグ会長がそのダガーを持ってこの<ケルドアーン>を使用したら、たとえ神滅鬼4位の階級までも容易に屠っちゃうかもーー?想像するとなんか身震いしたくなるね。


ああ、そうだーー!!

早山隊長たちの安全が心配で、気になって振り返った。

「早山隊長、ご無事ですかーーー!!?」

下にいる彼らにそう聞いたわたしだけど、なんかぽかんとしてる顔つきになってる早山君と森川さんがそこにいる。

あはははは................。わかるよ.........。さっきはあまりにもグロすぎて、引いちゃってるのかもね~~~。


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