第19話 早山ルーイズの現神戦武装(ディヴァイン・アームズ)

そう自己紹介を済ませたその銀髪美少女であるローズバーグ会長は笑みを浮かべたまま、俺と梨奈に視線を据える。この二つのソファにいる全員の配席って、こうだな:こっちのソファ地球組側が座るために用意されたものか、俺と仲間3人はここに腰を降ろしてる最中だけど、その向かいには現地人組の生徒会側の皆さん。あれー?梨奈は俺の右隣に座ってるのはわかるけど、なんでここだけ現地人であるネフィールだけ俺の左隣に座ってんのー?と疑問に思って彼女をじっと目で凝視してみると、「にししー!」という反応が返ってくるだけー。子供かよ、お前はー!ソファの前に設置されてるテーブルに視線を移動したら、どうやらパン、お茶、お肉と様々な簡易的な料理も用意されてるようだ。腹が鳴ったので、許可を取ってから俺の直ぐ前に並べられてるそれに口をつけて、食い始めながら、言った。

「やっぱり、俺たちが本当は<神の聖騎士>であるということを知ってるんですね。」

「ええ。もちろん知ってるんだとも。君たちがここの世界<リルナ>に召喚された当日に、つまりあのディグラン平野へと飛ばされたその次の日に、<カレバス>という伝達系の現神術を通して、ネネサ女王から直接にその旨について伝えられたんだ。」

「ってことは、さっき舞台にいた時にあたしたちをここへ招いてくれた理由は事情聴取とかではなくて、<神の聖騎士>関連の情報について話し合うためのものだったよね?」

「その通りだ。状況はさっき全部明らかになったんだからもうその必要もなくなったといっても同然。ついでに、明日は試合があるから早山くんや他の3人の使うことになる<現神戦武装(ディヴァイン・アームズ)>も渡しておく必要があるからな。まあ、渡すというより、選んでもらうと言った方が正しいが........。」

ふむ。どうやら、それも本題に含まれるらしいみたいだなー。でも、確かに明日は俺も現神戦武装を使って、あのフェルリーナと再戦するんだから、早く俺用のそれを見てみたいね。

「ローズバーグ会長、あたしの現神戦武装はルーくん....えっと....早山くんの試合が終わってからでいいから、今日は彼のものだけ渡してくれないかなー?」

「ほう。やはりか。君もそこにいる春介君と有栖川君と同じで、自分たちの(ディヴァイン・アームズ)を決めるのが先になるようだなー。相変わらず、方針が全員一致してるということは、それが何より君たちの絆の深さがよく顕著に見える事例になるようだ。」

「まあ、僕たちは付き合いも前からずっとあるような仲良し友達グループなんっすよー!だから、皆が同じように思うのも無理はないと思うけどねー。なあ、有栖川?」

「そうですね。地球人同士で、一年強の付き合いもある仲間ですから、こうなるのも自然かと」

やはり、他の二人も梨奈と同様、自分たちの武器の件は俺の試合が終わってから決めるらしい。なんか、感動してくるね、こういうのって。こんな大事な友達が側にいるから、益々負けるわけにはいかない!


「そういえば、わたくしも前からずっと疑問に思いましたけれど、なぜ皆さんが召喚された当日にユリンさんのいるグルゴラ神殿ではなく、あのディグラン平野に現れましたの?それをユリンにも聞いてみましたけれど、彼女も皆目検討がつかないらしくて、答えられずにいましたわ。なら、本人達に聞いてみたいですわ。どうしてそうなるのか心当たりとかありませんの?」

ふむ。確かに、エレン姫の疑問も一理あるな。考えてみれば、変な話だったよねー?<聖なる神の使者を仰ぐ演舞>なんだっけ?という儀式を行ったら、<神の聖騎士>は実際にそれを行った召喚者の目の前に現れてもいいだったはずなのに、なんであの神滅鬼がよく跋扈しているディグラン平野の近くにあるロルランド山脈の周辺に俺たちが飛ばされたのー?おかしいと思えてきたなー!

「いやー。そう言われましても、僕たちって元々は召喚される前には部外者だったし、この世界の現神術とか超常現象について話せといってもなー。」

「そうですね。分かるはずがありませんよ。というか、私達が先に知りたいぐらいです!だって、あの日、ギリギリであのムカデの餌になっていたところでしたよ、私達が。」

「うん。そうよね、有栖川さん、春介くんー!もしユリンの前に転移されたら、あのムカデから逃げ回ったり、エレンたちに出迎えてもらう必要もなかったよねー!?」

そう。なぜ召喚者の近くにではなく、遠いところに転移されてきたの?

「それをネネサ女王やエレンから聞いた時も正直、私も半信半疑だったぞ。一体なんの理由があって、召喚された<神の聖騎士>は召喚者の前じゃなく、別のところへと出現したのかは謎だなー。よって、このことを知ってるここに同席してる生徒会員も何か真実や真相を突き止めるができるか、今後も引き続き取り調べていくよ。」

「それはありがたいですね、会長。ところで、エレン姫の隣に座ってる子って誰ですか?」

そう。さっき気づいた事だけど、見慣れた顔以外にも新しいのがあったなーと考え中だったよなー。その子はピンク色なツーサイドアップな髪型をしていて、隣にいるエレン姫や会長に負けずにかなりの美少女である。どうやら、そっちはエリーという元気なタイプと違って、無口っぽくて、たぶん内気な奴か、あるいはそれなりに会話できるけれど大事な時以外はあまり喋りたくない系.....なのかなー?

「ああー!そういえば、生徒会員としての正式な自己紹介はまだなんだっけ。自分は既に名乗ったから、エレン姫達とも既に面識があったし、後はこの子とエレン達の生徒会での役職を紹介してもらうだけだなー。では、リシェール、君からだ!」


「........リシェール。アタシはリシェール・フォン・ノアーズ.....です......。会計......務めてます。」

と、それ以上は言いたくないか、それっきりで直ぐに静かになるリシェールと名乗った子。

「わたくしは副会長ですわよー。」

「ワタシの役職は書記です。」

「エリーはネフィーっちと同じく生徒会に属してないよ~~~です!ここにいるのは~~~~ルーっちと関係のある一員だから~~~~ですよね~~ね、エレンっち?」

と、それぞれの役職を述べたいつもの面子だが、最後のエリーっては何鼻歌しながら言うの?しゃぎすぎだろ、おいー!やっぱ、子供じゃんかーお前ー!


「これで、わたくし達の役職も既に<神の聖騎士>である彼らに知ってもらったことですし、さっそく本題に移してもいいでしょうか、会長?」

「ええ。そうだなー。では、君から説明してやれ。」

「はい!」

と、元気よく会長に答えたエレン姫だけど、やっぱ笑顔を浮かべる時のエレン姫って綺麗ね!金髪美少女ってこうでなきゃー!ふゅ~~!

「では、早山さん、森川さん、春介さん、有栖川さん、まずはこの世界、<リルナ>の現状について、お話させて頂きますわね。皆さん、こっちへ来ませんの?」

と、エレン姫に促されたので、従って彼女の後を追う。どうやら、彼女は俺達をあそこのテーブルの横に設置されている四角型モニターらしき物の前へと手招きしているようだ。というか、今まであんなような現代的な機器って見たことないじゃんー!なんでここの生徒会室にそれがあるんだよー!? って、なんで、ネフィールとエリーもついてくるのー?しかも、なんか楽しそうな表情してるしー!

と、エレン姫の前に並んでいる俺達は彼女の次の行動を待つと、彼女も制服のポケットから何かを小さくて細長いものを取り出して、それをモニターらしき物へと向ける。

ぎゅーーーん!

と、何か機械的な音が響いたかと思うと、次はそのモニターの画面にこの世界の地図みたいなのが映った。

間違いないようだ。これは俺達の世界によくある、所謂<液晶画面>みたいなもんだなー!俺の両脇にいる梨奈、遼二を見ると彼らもショックを覚えたか、驚いてるような顔をしてる様子である。まあ、当然だよなー。今まではこんな現代的なもん、見かけなかったのに、何で今更になってそれがー?

「皆さん、これは<画像猫板(サダ)と言って、視覚的な情報を写すために使われるものなんですわよー。古代の先祖様がお作りになった技術的な物らしいので、今でも再現したり、模倣して製作する知識がないほど、謎の多いものなんですわ。」

「でも、それならなんで使えるの?」

「簡単に使えるからですわよ、森川さん。ほら、この操作用の<エニ>にあるボタンを押すだけで、世界の地図が写されてる画面がその(サダ)の上に出現しましたわよねー?」

「因みに、映像として写せるものってあの地図だけ?」

「そうですわ、早山さん。」

なんだー。何の役にも立たないものだけじゃんー。

「でも、厳密に言うと、これだけじゃないですわー。皆さん、よく見ていて下さいね。」

と、今度は右手にある<エニ>その細長い物体にある一個のボタンを押すと、地図の上に、いくつかの赤点が写された!なにあれー!?

「神滅鬼の出現地ですわよ。この赤点がついたものは、神滅鬼がよく発見されたり、出現ようになったり、跋扈するような地点となりましたわ。」

それにしても、多いなー!ってか、そこの中央にある大陸って大き過ぎるー!どれぐらいの広さと面積だよ、それー!

「ここに、一番広い面積を誇るこの大地はグロスカート大陸と呼ばれてますわ。で、この中央に位置するここの地域の中心にあるのはわたくし達がいるゼンダル王国ですの。これを見て、分かっている事だと思いますが、我が国とここんところに位置する周辺国に、神滅鬼の出現地が数多く赤点として表示されているんですわよね?」

「ええー、それは俺たちにもはっきりと見える。そうだよね、梨奈?」

「うん。それにしては、多すぎるよね、あれー。」

「討伐隊は派遣しないんですか?」

「はい、有栖川さん。神滅鬼がまた歴史上、再び登場しはじめた2年前から、いつも偵察のために周辺国のヴァルキューロアと協力して、斥候部隊をここに表示された赤点のいる地へと派遣し続けてきましたが、ここ一年の動きは目に見張るものがありましたわ。」

「ん?どういうことですか、エレン姫?」

「まずはこっちをご覧下さいねー」

と、また別のボタンを押したエレン姫に呼応したかのように、画面に表示されてる地図の赤点は今度、少なくっている。ううおおーー!いきなり縮みやがったな、その量がー!

「これは一年前のことですわ。で、次にさっきのへと戻しますわね。」

と、またボタンを押して、さっき表示された地図へと戻したエレン姫。やっぱり、前より何倍か増えやがったー!ように見えるな、はいー!

「これは現状ですわ、皆さんー。」

「それはかなり深刻の状況にあるね、なあ、有栖川ー!」

「ええ、そのようですね。今でも表示されている赤点が点滅しているままですけど、討伐隊は派遣しないんでしょうか、エレンさん?」

「無駄ですわ、有栖川さん。ここ一年間の間にそれが表示された途端、直ぐに該当する地点へと派遣してきましたが、討伐を終えて戻ってきても、またも同じところに赤点が表示されましたわよ。」

「そんな......」

「嘘だろうー。」

やっぱ、大変だなー、ありゃー。

「ですので、赤点の出現した地点が民の暮らす町から、ある程度の距離近くまでになった場合にだけ、討伐隊を派遣することにしますのよ。」

ふむ。なるほど。


「だから、神の聖騎士である皆さんにお願いがあって、呼んできたのだ。どうか、神使力と現神術においての知識を授業を通じて、真剣に励んでほしい。状況は刻一刻と悪化していくばかりなので、きっとカン・ウェイの復活する日、<終わりの饗宴>が近いに違いない。さっきの決闘で、私の<ネリガー>が働いていたのにも関わらず、早山くんもフェルリーナから受けた全ての傷を自力で直せたし、それは確かに<神の聖騎士>としての能力の一部だと信じてる。なので、頑張って下さいね、皆!」

「はい!「おう!」」

「うん!「ええ!」」

と、会長の切実な願いに対して、元気よく頷いた俺たちだった!

「あああー!!思い出したよ、会長ー!」

と、それについてぴんと来たので、大声を上げてしまった。

「ん?なんだ、早山くん?何か気になることでも?」

「召喚されてエレン姫たちを始めて見た瞬間からずっと考えてきたんですが、なんでここの世界の住民って、女性しかヴァルキューロアになれないんですかー?」

「あたしも知りたいねー!ね、どうしてそうなってるのー?」

「何か特殊な理由でもあるんっすか、会長?」

と、俺たちの質問の雨に、顔を見合わせた会長たちだったがー。

「にししー!なら、わたしが答えてあげようかー?」

と、悪戯っぽく笑みを満面にしてみせたのが他でもない、俺と梨奈のクラスメイトである緑色ショット髪であるネフィールさんだった。


「で、ここの世界ってなんで女性しか<戦闘可能>な神使力を宿さないかというと、一部の説としては、<女性としての保養力>が必要になってくるからだよー。」

「それって、どういう意味ですかー?」

「まさかとは思いますけど、保養力ってあれのことでしょうか?」

俺と有栖川さん自分たちの思ったままの疑問を口に出して見ると、

「つまり、何が言いたいのかというと、お胸がないと戦闘可能な神使力を大母神、シェレアーツ様に授けてもらえないからだよー。ね、わたしの説明っておっけ?エレン様、会長?」

「ええ、その通りですわ、セーラッスさん。」

「説明としては間違ってないぞ、ネフィールよ。で、それ故に、赤ちゃんに上げるためとしてのお胸が無いのに等しい男性はシェレアーツ様から能力を使うのに必要な神使力量を授けては下さらないと、神官達が研究や論議の末に導いた結論だ。」

なにそれー?おかしいじゃんかー?

「それで、なんで男である俺と遼二....こほん!春介さんはそれができるの?」

「理由は明白だよー、早山君!君たちは異世界から召喚されてきた<神の聖騎士>だからだよー!ね、リシェール、エリー?」

「........うん.......正解です......」

「うん!はむはむ.........そうですよ~~~はむはむ.......ね~~エレンっち~~?」

ネフィールに聞かれたので、こっちの近くまで歩いてきてそう答えたあのピンク色なツーサイドアップな髪型っ子であるリシェールと、人懐こい元気っ子である茶色い三つ編み髪をしているエリー。というか、エリーって、食いながら喋るのはどうかと思うよ、女の子として。しかも、歩き食いだし............。 それにしても、リシェールって、スタイルいいね。無口みたいだけど、エリーより身長が高くて、お胸も梨奈と同程度にそれなりの大きいさを誇っているようだ。歩いてきて、ぽよんぽよんとしていて、目に保養だなーううひょおおー!って、もう見慣れてる光景だけど、今更で、なんでそんなに気にする必要がー??......まあ、結局、男としての本能には抗えないままなんだな.....ーはいー。


「そうですわ。では、ここでのお話しも済みましたし、お昼休みも終わりが近いですので、早く全校集会へと参りましょうー。早山さんの現神戦武装を決めてもらうのは放課後からでいいですわ、皆さん。」

と、その後、全校集会に集合するために、校舎のとあるめっちゃ広い体育館に向かっていった俺たち10人である(もちろん、生徒会長も出席するよ)。ってか、ヴァルキューロアって、身体能力はすごいから、競技とかここでやっちゃっても平気なのー?破壊されないよねーここって?まあ、きっと、俺とさっき戦ってた女みたいにとはいかずに、異世界組である4人と序列10位から1位からなる、この14人以外の大半の女子生徒はそこまで身体能力がすごくないのかなー?

で、その体育館にて、伝達事項を淡々と述べていく学園長らしき美しい容姿とセクシな胸元が開いてる衣装をしている20代の女性が見えたが、ええ??俺と遼二の名が呼ばれてるぞー!? どうやら、壇上へと上がるよう指示されてるらしい。

「では、君達。ここに集合した、我が学園の全校生徒に向かって、正式な自己紹介をお願いできる?」

「「はいー!」」

どうする?先に誰が挨拶するのー??と、そんなことを思ってると、あろうことか、遼二は俺にウインクして、まずは僕からだ、と言わんばかりのジェスチャーを見せたぞー! やばい! 俺って、そっち系じゃないってのに、あんな爽やかな笑顔を浮かべるイケメン親友が前にいたら、つい変な気分にー!まあ、俺は女の子が好きなノンケなので、前に見渡せる限りの乳を並べてる最中の数十人の女子生徒に視線を戻す。ううおおーー!絶景だな、これ。なんか、俺たちを見てる目も興味津々で、可愛いし、っていうか、顔を赤らんでいる顔までいるぞー!

「僕は春介遼二です。そこの早山さんと同じで、戦闘可能な神使力を覚えたばかりで不束ものでもありますが、よろしくお願いしますね。」

と、簡潔に、かつ綺麗に自己紹介を終えた遼二の奴。こりゃー負けてらんないなー!

「俺は早山ルーイズだ。特殊な理由があって、こんな肌色になってるんですか、親身になって接してくれるとありがたいです!どうか、宜しくお願い致しますー!」

「ぱちぱちぱちぱちぱちー!!!!!!!!大丈夫だよ、早山くんに春介くん!!わたしたちが付いてるよー!!!だから、安心して気を抜いて学園に通ってねー!!」

と、俺の正直でかつ切なる思いに触発されてか、ものすごい拍手と歓声が轟いてきたぞー!!というか、なんか数人の可愛い女子生徒からもこっちへ手を振りながら優しい笑顔でそんな生暖かい声援が送られてきたけれど、なんかぐっとくるよなーあれー!やばい!その歓迎の意思に感動が抑えられず涙が零れてきちゃいそうー!ひくっーー。さっき、フェルリーナから受けた暴行が簡単に忘れられそうなくらいにーー。ふと、右隣に立っている遼二を見てみたら、あいつも俺と同じく、咽び泣きそうに感動しているようだ。で、前方にいる女子生徒の集団を凝らして見ると、立っている梨奈と有栖川さんも見えてきて、彼女たちも苦笑しながら、拍手を送ってきてるようだー。ナイスー!二人とも!


で、その後は普通に梨奈とネフィール3人で自分たちの所属してる2年B組の教室へ戻って授業を受けていく。


「ね、ね、早山くん~~!また肌を触ってもいい~?」

「ええ~~??ナルだけずるいー!アタシも彼の肌を触りたいー!」

「私も、私もー!」

「あの、早山くん、えっと.....お友達二人と一緒でもいいですから、私達とおやつ、食べに行かないー?」

「そういえば、最近、開店したばかりのケーキ屋とかあったっけー?」

「アタシも行く、行く、行きたいわー!ね、早山くん、森川さん、ネフィールさん、早く行こうよ~~~。ねー?」

放課後、またも騒がしく俺の席を取り囲んでいる数人のクラスメイトの女子がいて、困惑しながらも渋々彼女達の親切なお誘いを断らずを得なかった。現神戦武装の件もあるから、そう簡単に皆で遊びに行けないな~~。はああーーもったいないねー。こんなに可愛い女の子がいっぱいいるのに、別のことをやらされるとはーー。と、梨奈を見てみたら、なんか怒ってるっぽい顔をして俺をじっと目で射さすような視線を送ってくるけど、なんでー?? と、梨奈の後ろの席に座ってるネフィールを振り返って見れば、「にししし~~!」と何か変な笑い声を零してこちらをニヤニヤした表情で見てるけど、なんだろうー??


と、教室を出ようとしたところに、金髪を靡かせている、我が学園の副会長兼王族直属部隊の隊長であるエレン姫やローザに出迎えながら、5人揃って俺の現神戦武装を選びに行こうと、厳重に管理されている学園の武器庫へと足を運んでいった。遼二と有栖川さんはエリーと何か先約がありそうだと、エレン姫から聞かされたので、彼らは別行動を取る。ふふふふ.......4人の美少女を連れて歩いてくだなんて、俺も人生最大な境地に辿り着いた感じだなー!ひひー。武器庫の位置はどうやら、本棟の左側のところにあるらしくて、そこは分厚いドアの開錠を終えたエレン姫が入っていくので、俺たちも続いて中へと。


「うううおおおーーー!」

「大きいね、ルーくんーー。」

「にししーー!当然だよー!体育館よりも内の学園の誇る、一番広い部屋だよー!」

「ちなみに、奥の方にはテスト用の実験室もあります。お好きなだけ現神戦武装を通して、威力の弱い現神術から的に向かって攻撃できますね。」

と、俺たち二人の感嘆な声につられて、そう付け足したネフィールとローザ。

そう。とっても広いんだ、この一室は。見回してみれば、確かにたくさんの種類の武器が複数の展示台や陳列台に置かれているのが見えたので、あれらすべてが現神戦武装(ディヴァイン・アームズ)なる物なんだろう。

「早山さん、こちらへ。」

とエレン姫に促されたので、彼女の豊満なお尻の後ろで付き添って肩越しにエレン姫の指差した前方にある陳列台を覗き見た。


「これらはどうですの、早山さんー?<神の聖騎士>はいずれ、わたくし達リルナ住民のヴァルキューロアの神使力量を遥かに上回る時が必ずやってくるから、その時は武器を通して、使うことになるであろう数々の強力な現神術の放出に耐えるように、特別に早山さん達用に頑丈なのを我が国が誇る現神戦武装生産局にオーダーメイドしてもらいましたわー。」

と、彼女の説明を聞いたので、梨奈に付き添われて、前へと出た。

ふむ、確かに様々な武器があるなー!なんか、鋼よりも頑丈な外見をしてるなーどれもー。きっと、錬金術か現神術を使用しての特殊な加工と精製が施されてるのだろうー。


「では、時間をかけてゆっくり選んで下さいね、早山さんー。わたくしが側にいますから、何か欲しいものがあるかリクエストかあれば、遠慮せずに言って下さいね。力になってあげますわ。」

と、優しい笑みを浮かべたエレン姫は巨乳と金髪ロングを揺らしながら、俺の直ぐ右に並んで、にっこりと目を細めて微笑んだ!やばいー!超可愛いねーエレン姫って。容姿は抜群だし、エッチな制服と相まって身体付きもセクシ過ぎて、なんか心臓が止まっちゃいそうに~~~。って、いかんー!今は真面目にやるぞー!武器はっとー。どれどれ......ふむ.......ほほう......


と、感嘆とした溜息を漏らしながら、目の前に並べられてるデザインのいい武器の数々を物色してみて5分も経ったら、ああ!決めたぞー!これ、振り回すとちょうかっこいいから、これにするよ!!と、梨奈も俺の選択に気づいてるか、納得した顔になり、「ルーくんって相変わらず派手なのがお好きよねー」と飽きれた表情になって

「エレン姫、俺の武器はこれにしますよ。いいですか?」

と、俺の手にしたものを見たエレン姫は数秒、驚いた顔をしたら、直ぐに取り直して、微笑んだ。

「ふふふ......勿論、いいですわよ。」

そう。俺の手にした現神戦武装は、いびつで、禍々しいな形をしている大鎌である。


で、その後は自分の選んだ武器、あの大鎌をとある現神術を通して、全体を縮ませて携帯用にしてポケットへと仕舞い込んだ(ちなみに、俺はまだそれが使えないので、明日は試合の時がやってきたら、エレン姫に元の形に戻すよう、頼んでみたのでにっこり顔で了承された)。寮に戻って、梨奈と分かれてから部屋に戻ってそれきりでそとへ出ないが、夜になったら、夜食の為に寮にある食堂で簡単な料理であるお肉とパンをもらって部屋へと戻る。ちらちら見てくる女子の視線がくすぐったくて、直ぐに帰りたいからね、部屋へ。


で、消灯時間になる一時間前に、遼二が俺の部屋へ訪れてきた。やっぱ、久しぶりのボーイズトークって大事だよな? たまには男同士の付き合いも必要になってくる。うん。

「それにしても、初の男子生徒であるというのによく教室の子達と馴染むようになってるね、俺たち。」

「まあ、みんなも神滅鬼と戦える仲間が増えて舞い上がってるんだと思うよ、ルー!例え、男子だろうと、同じ敵と立ち向かっていく同胞になるんだから、きっと男とか女とか関係なしに、純粋に仲間として見ていてくれてるよー!」

「それも納得のいく説明だね。解説、サンクス!」

「で、ルーの好みの子って誰?」

「え?」

「だから、こ・の・み・だよ、このみー!誰が好きなんだいー?」

といっても、会って数日しか経ってないし、梨奈以外はまだ気心が全部わからないので、一番好きな子が誰って言われてもぴんとこないし。でも、強いているなら.....

「んんんん.......梨奈とは昔からの家族の付き合いみたいだし、それを除外するとしたら、やっぱエレン姫が一番かな。」

と、正直に思った事を伝えると、

「わかる、わかる、優しいし、笑顔を絶やさないし、将来の指導者らしくて責任感強くて凛々しいオーラも出してるし、あのムカデと戦ってた時もかっこよかったし、ルーがそういうのも分かるよー!」

「でも、最近、仲良くなっているネフィールもなんか凄く親しみやすいし、ああいう子も好きねー」

「きみってさ、選ぶならどっちか一人にしろよー。梨奈に悪いだろうがー!」

「といっても、梨奈は俺のことただの手のかかる弟だと思ってるけどなー。それに、俺も彼女に感じる気持ちって大体それと近い感覚だし、恋愛対象として考えるのは少し飛躍しすぎだとも思うが.....?」

「でも、あいつ....」

「ほら、俺のことはさておき、お前ならどうだー?誰かタイプの子ってないのー?」

「うぐ.....そ....それは.....」

「ほらー!お前もまだ何も決めてないじゃんー!人のこと言えるのー?」

と、そんな他愛無い談笑を続けた俺たちだったが......

「それにしても、よく勝ててたな、あの時」

「ああ......」

「まさか、あんなに残酷なことを平然とやってのけたあの.....フェルリーナ?なんだっけ?って子、マジでヤバイ奴だなーー!?」

「ああ......そうだな......」

それは俺も同感だ。精神的に不安定にも見えたし、何かあったかに違いない。

「もしかしてあの子、家族から何か虐待めいたことをされてきたと思うんだよなー。」

「僕もそう思うー。なんか、考え方があまりにも歪みすぎて、気に入らないものがあればまるで暴行を加えても正義であると信じ込んでいるような様子を見せてたからなー。」

ふむ。お前もよく気づいたな。

「だから、明日は完全に負かして決着をつけるべきだと思って、挑戦を受け入れたんだよ。」

そう。今度は完膚なきまでにして、俺たちにまたちょっかい出さないように、勝利した時はここの学園から、去ってもらおう。絶対にーー。

で、その後は消灯時間になるまで15分残ってると、梨奈も昼前の俺が受けた傷によって発生される影響が気になってか、有栖川さんを連れて遼二もいる俺の部屋を訪ねて、4人で楽しく談笑したり、現状を確認し合ったりした。



.........................................................



と、その真夜中にに、大邸宅の裏庭みたいなところで、とある人物が暗闇に身を任せて、なにやら真剣な様子でレイピアみたいな形をしている細長い剣を何百回か、あるいは何千回かにも亘って鋭い突きをマシンガンのごとく繰り出し続けていく途中に........


「がっー!はあ..........はあ........はあ........はあ......まだー!まだだわー!!私の実力は......こんな程度だけではないわー!はあ.......」

と、息を切らしながら、そう自分に何度も言い聞かせている、そのレイピアを絶え間なく何もない空中へ向けて、何千回にも亘っての突刺を繰り返してきたオレンジ色な髪を風に靡かされてる少女がいる。

「そう!今度......何かがあっても、あの黒犬をぎったんぎったんに引き裂いて、私の奴隷にしてやるわー!私が.....鬱憤を晴らす時に使う道具として、よく可愛がってあげるわー!!うふー!うふふふふ........あはははーー!!」

と、そんな狂気じみた笑い声を上げる最中のその彼女の直ぐ正面に、人影が現れたー!

「!!」

と、気配に気づいた彼女は顔を前へと向けると、

「力が欲しいのかいー?」

と、不適な問いをしてきた、夜の影に覆われて全身があまり見えぬ人影が彼女の正面に腕を組んで仁王立ちしているようだ。

「もう既にあるわ、力がー!あんたは誰なのよー!?」

「もう一度、聞こう。あの黒い坊やを一瞬にして、簡単に打ち負かせる力が欲しいのかいー?」

と、もう一度、同じような質問を繰り返した人影は輪郭から見ればなにやら耳が細長くて尖っているのが見えた。それに気づいた少女は、次はその人影から発さえられた巨大な神使力の放出に、身動きを止めた!

驚愕に打ち震えている彼女は成す術もなく、押し倒されて全身を強力な力で押さえ付けられながら胸の上半のところに鋭利な注射器みたいなものに刺されて、不明な液体を体内に注入されていたのである................


_____________________________________________















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る