6話 まだまだ熱帯夜が続く

 二学期が始まって数日が経過し、週末を迎えた。

 今宵も相変わらず蒸し暑く、熱帯夜という呼称が実にしっくりくる。

 窓を全開にしていると肌寒さを感じる夜もあるけど、割合的には極めて少ない。

 私と萌恵ちゃんは今日も今日とて、夏休みの終わりと共に今年度の役目を終えたと思われたベビードールを身にまとっている。

 部屋の明かりを消し、扇風機のおやすみタイマーをセットして、仲よく一つの布団で身を寄せ合う。


「キャンプも待ち遠しいけど、文化祭も楽しみだよね」


「うんっ。中学の時はなかったから、すっごくワクワクするよ~っ。真菜、一緒に回ろうねっ」


 萌恵ちゃんの申し出に、私は「もちろん」と即答する。

 すると、萌恵ちゃんが楽しそうな笑い声を漏らしながら抱き着いてきた。

 私も当たり前のように抱きしめ返し、熱帯夜だというのに熱い抱擁を交わす。


「真菜大好き~っ」


「へぅっ!?」


 ハグを満喫している最中、頬ずりと共に愛の言葉を受け、喜びのあまり声が裏返る。


「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」


「ひぇあぉえぅ%#$◎&%☆」


 平静を装う間もなく頬や鼻、そして唇にキスをされ、言葉にならない歓喜の声が口から漏れ出た。

 元からスキンシップの頻度が高く内容も大胆だった萌恵ちゃんだけど、付き合い始めてからさらに顕著になっている。


「萌恵ちゃんがその気なら、私だって――」


 蒸し暑さと興奮によって体が火照るのを感じながら、唇を重ね、指を絡め、太ももを擦り合わせる。

 友達同士のじゃれ合いのようなことから、とても人には言えないようなことまで。

 誰にも邪魔されない二人暮らしという環境を最大限に活かし、私たちは眠りに就くまでひたすらイチャイチャした。

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