2話 夏バテ対策

 夏休みを満喫するためにも、夏バテ対策は欠かせない。

 というわけで、テーブルにパソコンを置いて萌恵ちゃんと肩を寄せ合い、いろいろと調べてみる。

 その結果、私たちは特別になにかを意識する必要はなさそうだった。

 夏バテ対策に重要なのは、しっかり寝て、しっかり食べて、適度に運動するということ。

 自慢できるほど完璧ではないかもしれないけど、人に話して恥ずかしくない程度には実践できている。

 私と萌恵ちゃんは夜更かしするタイプではないし、ご飯も三食しっかり食べている。日課として早朝に散歩していて、たまに公園でバドミントンやフリスビーで遊ぶ。もちろん、日差しが強い日はあまり動き回らない。

 現代の高校生としては、健康的な生活を送っている方だと思う。


「気を抜くと危ないのは確かだけど、常に気を張る必要はなさそうだね」


 ノートパソコンを畳みつつ、安堵の溜息を漏らす。


「そうだね~、強いて言うならアイスの食べ過ぎに気を付けるぐらいかな?」


 さっきアイスを二つ食べたばかりなので、萌恵ちゃんの言葉がチクリと刺さる。


「たまに寝不足な日もあるから、お昼寝するのも――あっ」


 夏休みだから平日でもお昼寝する時間があるという話をしたかったんだけど、途中で重要な事実に気付いてハッとなる。

 そう、私たちは基本的に夜更かしをしない。

 寝る前に話し込んだりもするけど、翌日に備えてきちんと眠るようにしている。

 となれば、寝不足の原因はたった一つ。


「お、お昼寝、いいよね~! 気分もリフレッシュできるし!」


「そ、そうだよね、あははは」


 私も萌恵ちゃんも、夏の暑さとは無関係に顔が赤くなってしまう。

 二人とも平静を装おうとするあまり、逆に焦りが見える。

 夏バテ対策について話している最中に連想するとは思っていなかったので、動揺してしまうのも仕方ない。

 寝不足の原因というのはつまり……いわゆる、夜の営み。

 今年の夏は、例年に比べて寝不足の日が増えるかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る