『のら帰る』

やましん(テンパー)

第1話 『のら帰る』

 わりと、しゃきっとした、にゃんです。


 やや、ふとめか。


 首に、赤いリボンをしているのです。


 だから、どこか人のおうちで、生活していたはずなのです。


 10月から11月の初めくらいまで、やましんちの庭を、ねぐらにしていました。


 それが、ふと、消えてしまったのです。


 お庭の、風向計とか風速計とか、壊されるのがいやだったので、垣根をつくったり、嫌な臭いのする袋を置いたりしましたが、一番効いたのは、ペットボトルの2リットルパックだったようでした。


 いなくなると、気になるもので、ちゃんと、お家に帰ったのか、生きてるのか?


 なんて、余計な心配をしていました。


 もっとも、やましんは、食べ物は提供していません。


 にゃんは、おそらく、食べ物で、縁を結ぶ生き物です。


 それなりの責任もつ気でないと・・・・・


 

 それが、えっちらおっちら、さきほど、やましんが、歩いてお買い物に行って帰ってきたとき。


 やましんの、まえを、すたすた、と、あるき、庭に侵入するにゃんがいたのです。


 あらららら、帰って来たようです。


 いったい、この一か月、どこで、なにを食べていたのか?


 なんで、何もくれない、このけちなやましんちに舞い戻ったのか?


 きっと、寄ってみただけで、これから、また、旅に出るのかもしれないな。


 にゃんも、たいへんだ。


 これから、いやな冬が来る。


 なんだか、少し、色あせしたみたいだな。


 にゃんの一か月は、けっして短くはないだろうしな。


 お話ができるなら、冒険談を聞いてみたい。


 なら、めざしくらい、あげてもいいかな?




    *******            🐈














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