いつかは誰かと結婚するんだよな
…―――――
…――――――
「送ってくれて ありがと…」
「ぅん…」
リョウちゃんが軽く頷いた。
ちょうどそのとき、お姉ちゃんが部活から帰ってきた。
「…ぁ なぎねぇだ」
「リョウくん! サオリを送ってくれたの?」
「ぁあ、今日は バイト休みだったし…」
リョウちゃんは、渚姉ちゃんのことをいつも、「なぎねぇ」って呼んでいる。
「せっかくだから、夕飯でも食べてく?」
「ホントに~! ラッキー!!」
待っていたかのように、素直に喜ぶリョウちゃん。
まさか、夕ご飯目当てで、サオリを送ったんじゃないよね?
「ここのご飯 美味しい〜」
ちゃっかり、家族の一員みたいになってた。
「遠慮しないでいっぱい食べてね」
うちのお母さんは、リョウちゃんが来ると、いつも嬉しそうな表情をする。
「うちは 女の子しかいないから、リョウちゃんが来たら賑やかになるわ〜」
お姉ちゃんも、「リョウくんみたいな弟が欲しかったなぁ」って、我が家の女子たちには、すっかり気に入られてる。
「お代わりもあるからね」
「ホント? じゃぁ、もらおかなぁ〜」
ちょっと! リョウちゃん。 少しは遠慮くらいしてよ!
誰に対しても、人なつっこくて態度が変わらないリョウちゃんなのだけど……。
うちのお父さんだけには、苦手意識を持ってるみたいだ。
堅苦しくて真面目な性格のお父さんは、リョウちゃんが来ても、特に「ニコリ」とすることもなく、あまり喋らない。
そんなうちのお父さんの性格を知ってか知らずか、お姉ちゃんときたら、リョウちゃんのことばかり話題にする。
その日も、お父さんが一緒に食卓にいるのに。
「そうか。
リョウくんが、サオリと”結婚”したらワタシの弟になるんだよね~」
…って、まだはっきりと決まってもいないのに、勝手に口にする。
「え…? 結婚…?」
バカバカ!
お姉ちゃんったら、お父さんの前で何言うのよ?
リョウちゃんにも、訊かれちゃったじゃないのよ~。
私は、恥ずかしくて下を向いてしまう。
胸の”ドキドキ”が聞こえちゃったらどうしよう~。
一瞬、チラッとリョウちゃんの方を見る。
でも、今の話を訊いてなかったかのように、平然としていた。
やっぱり、リョウちゃんはサオリのこと……。
何とも思ってなかったのかな?
玄関先までリョウちゃんを見送ったとき、リョウちゃんがマジマジとこっちを見た。
え…?
何…?
すると、突然——。
「そっか。
お前も、いつかは”誰か”と結婚するんだよな~」
…って、まるで人事みたいに呟いた。
今、思えば…――。
リョウちゃんの性格上、これが「精一杯の照れ隠しだったんだ」って分かったけど、当時は、ものすごぉ~く空しい気分だった。
ボーイフレンド💛~友情から恋へ発展していく物語~ ERI~ (えり~) @Eri0315
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