仲 いいんだね
そうこうするうちに、教室の掃除も終わり――。
「リョウちゃん。何か、ジュース買ってきてよ」
少し甘えた声で言ってみた。
「ゲッ! 何で オレが?」
と、リョウちゃんはギョッとした表情。
「何? …その顔」
リョウちゃんのその嫌そうな顔に、ちょっとイラっとしたんだけど。
「昨日、掃除当番 サボったでしょ?」
…って。
昨日の仕返しっていうふうに、悪戯っぽい笑みを浮かべて言ってやった。
「お前、いつから人使い
リョウちゃんは、しかめっ面をして私を
「いいのかなぁ~? 先生に言いつけちゃおうかな~?」
まるで脅迫犯みたいだな~って思いながら、リョウちゃんに目を向ける。
「分かったよ。で、何がいい?」
リョウちゃんは、とうとう折れて買いに行く羽目になった。
「えっとね…… オレンジジュース…」
素直に従うリョウちゃんに何だか嬉しくなって、思わず 笑いがこみ上げる。
「高校生にもなって、オレンジジュースかよ。
…ったく、お子ちゃま だなぁ~」
リョウちゃんは、『お子ちゃま』のところを強調して教室から出て行った。
「オレンジジュース 好きなんだぁ」
帰り支度をしていたら誰かに突然、声をかけられた。
ふと顔を上げると…—。
トオルくんが優しい笑みを浮かべて、私の前の座席に座っていた。
一瞬、ドキッとしてしまう。
トオルくんの周りにいたファンの女生徒たちもいつの間にか去って行き、教室の中には、私とトオルくんの二人きり。
トオルくんは頬杖をついて、こちらを優しい瞳で見つめていた。
「え…っと うん……」
私は、戸惑いながらもコクっと頷いた。
話しかけられただけなのに、さっきリョウちゃんが変なことを言うから、トオルくんのことを意識しちゃったじゃない……。
「リョウと
すると突然 トオルくんは、とんでもないことを言い出した…――。
「リョウとは、もう
そう言われて 自分の顔が、かぁ~って熱くなった。
しばし沈黙…――。
な、何か言わなきゃ…。
え~っと。
トオルくんは、何か面白いものでも見つけたみたいにこっちをじっと眺めている。
そしてようやく口をついて出て来た言葉は…――。
「そそそんなこと……あるわけないじゃない。
只の幼馴染みだし……」
もう、動揺が止まらない。
うぅ~ この状況、耐えられない……。
リョウちゃん 早く帰って来ないかなぁ~。
…って、自分が教室から追い出したことをいつの間にか、私は忘れていた。
トオルくんは、ニコニコと微笑んで「そうなんだぁ」って、小声で言ったかと思うと。
「じゃぁ リョウとは、まだ 何の関係もないんだ」
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