5年ぶりの再会

 二度目の出会いは、中学の入学式の日。

 それは偶然なのか運命なのか、リョウちゃんと5年ぶりに再会した。



「仲田 亮です。よろしく………」


 って、半ばぶっきら棒に教壇の前で自己紹介をしていた。



 だけど、そのときは……。

 何となく無愛想で、近寄りがたさを感じていた。

 だから、感動の再会のはずなのに。

 何となく声をかけられなかった。



 この時期、転入生が入ってくるのは珍しいのか、リョウちゃんはすぐに、クラスメートから注目を浴びていた。



「お前、どこから来たんだぁ?」


「仲良くしようぜ」



 仲間意識をオープンにして話しかけてくる男子生徒もいたけれど。

 なかには、タチの悪い連中もいた。



「あいつ、女よりもチビだぜ~」


「本当に、中学生か~?」



 担任の先生が、リョウちゃんに席に着くようにと言ったけれど。

 リョウちゃんは、そのまま悪い連中の方へ。



「おい、今 何つった?」



 リョウちゃんが、悪い連中の一人の胸ぐらを掴んで言った。



 その瞬間、一気にクラス中が騒然となった。



 何か、な予感……。



「あぁ~~? チビをチビだと言って何か悪いのか~?」


 その男子生徒も、怯むことなく言葉を返した。



 その直後、大乱闘が始まり、クラス中が大騒ぎ。

 騒ぎを起こした二人は、一週間の停学処分という形になった。



 一度も会話を交わさないまま、三日ほど過ぎたある日。

 私は、職員室の前に立っていた。



「先生。リョウちゃ……じゃなくて、仲田くんの家の住所を教えてください」



 一度、「リョウちゃん」って言いかけたけど、すぐに言い直した。



 すると先生は。


「でもねぇ~ 問題のある生徒だからね~…」



 困ったような表情を見せながら、そう言ったけれど。

 熱心に頼み込んだら、住所を教えてくれた。



 入学してから、まだ幾日も経っていないのに。

 リョウちゃんは、いつの間にか、『問題のある生徒』にされていた。

 大人たちは勝手に、そうと決めつける。



 リョウちゃんは、何も悪くないのに……。






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